
今月は先月に続き、住まいのリフォームについてお伝えいたします。
“生活の場所の環境を整える”ことは介護のコツのひとつです。加齢による不便や不安、体の障害や虚弱による不自由が発生しても、自宅で最後まで自分らしく暮らすためには、住宅も心身の変化に応じた対応や工夫が必要です。そして、住まいに体を合わせるのではなく“変化する体に住まいを合わせる”という発想も必要です。住宅を見直すためには、まずはそこに住む人の体を見つめる作業から始めましょう。そこから体や暮らしに優しい住環境が見えてきます。
■住環境のリフォームを考える際のポイントは?
●体のこと、生活習慣のことを知ること
高齢期の体は変化しています。
体の変化や変化しつつある生活習慣を知ることが必要です。
●情報を集める
リフォームの方法や改善するための生活用品、福祉用具などさまざまな商品が年々開発されています。
実物に触れたり、体験もできます。情報を集めましょう。
●必要なものを見極めましょう
住む人の体の状態から問題点や改善点が見えましたか?介護する人が負担を軽減したい点はどんなところでしょうか。これまでの常識から少し頭を切り替えて生活の動線を再考してみましょう。
例えば、膝や腰に痛みや炎症を抱えているなら布団の生活をベッドに、車いすを利用したり介助者のスペースも必要となったらドアを開き戸から引き戸に、いつもあった壁をなくし広い空間に変える、常に排泄の心配や介助が必要であればトイレを寝室の近くに移動するなど、暮らしの問題を解決する方法を再考してみましょう。
●段階を踏んだリフォーム計画を
一度に大がかりなリフォームを行うのは費用や期間、労力もかかります。元気な段階から少しずつ行っておくと精神的な負担も軽減されます。例えば、手すりが取り付けられるように壁の下地補強だけは行っておくと、いざという時に取り付けがスムーズに行えます。そして意外にリフォームよりも荷物の移動や整理、処分で解決するというケースもありますので、高齢期は日頃から不要なものは処分する、物を増やさない習慣も大切です。
■住環境の見直しは住(ハード)・福祉用具(モノ)・人的サービス(ヒト)の3つの視点で
住環境を整える手段はリフォームだけではありません。福祉用具の利用や在宅サービスの活用によって改善できるものもあります。リフォームだけに飛びつかず、使う人のニーズにあわせた総合的な計画が必要です。
【ご相談事例1】
「入浴好きだった両親がいつのまにか入浴しなくなってしまった」というご相談をうかがいました。
早速ご自宅を訪問すると、問題の浴室は暗く寒い環境にあり、土間に置かれた浴槽はとてもまたぎが深いものでした。これでは転倒の危険が伴い関節に負担もかかり、自然に足が遠のいてしまいます。
家庭内での入浴中の事故はとても多く、11月から3月にかけて気温の低くなる時期に多発しています。お湯に浸かるという日本ならではの習慣は、血行を良くし、気分のリフレッシュ効果もあります。転倒や溺死事故などを防ぎながら安心で明るい浴室環境を整え、心地よい入浴を楽しみたいものです。
浴室のリフォームには、またぎの深い浴槽を高齢者対応使用の和様折衷型のバスタブに替えることで浴室に入りやすい環境が整います。各メーカーが高齢者対応のユニットバス一式を用意しています。ところが、この場合は費用が高額になります。そこまで大きな工事が必要か今一度検討しましょう。
小さなリフォームの方法をご紹介いたしましょう。洗い場全体にスノコを敷くことで浴槽との段差を小さくすることができます。浴室や浴槽の出入り口への縦手すりの設置は転倒を予防し移動を安全に補助します。浴槽の壁面のL字型手すりは入浴中の姿勢を補助し安心感を与え、立ち上がりも補助します。いったん腰掛けてから浴槽に入ることのできるバスボードという商品があります。こちらは介護保険の購入費補助を活用することができます。浴室と脱衣室には暖房器具を整えました。浴室までの通路や居室の不用品の処分も重要な方法となりました。いつの間にか荷物が生活の動線にあり、健康を害していることになっていますから、新しい目で住宅内を見直すことは大切なことだと実感した訪問でした。小さなリフォームと大きなリフォームご提案の結果、まずは小さなリフォームを試されたケースです。
【ご相談事例1】
マンションに住む70代女性からご相談がありました。浴槽からの立ち上がりが困難で、毎晩姉を浴槽から出すのに寒さに震え2人で困っているという切実な内容で、大変お困りの様子でした。マンションの管理サービス会社に尋ねたところ「手すりはつけられません」のひと言だったということです。つらいお話ですね。
予算はあまりかけられないということで、このご相談者には“浴槽内に設置する椅子と滑り止めのマット”、そして浴槽の縁に取り付けることができる“浴槽用簡易手すり”をご紹介いたしました。浴槽内椅子は浴槽の中に固定する用品です。浴槽が深すぎて出入りが不安な場合に深さを調整することができ、立ち上がりも楽になります。浴槽用手すりは入浴中や出入りの際の姿勢保持に役立ちます。ご紹介させていただいた福祉用具販売店では、実際の商品を2~3種類持って自宅に伺うというサービスを行っています。実際に取り付け可能で使用しやすい商品を選ぶことが可能です。「こんな商品や方法があるとは知りませんでした。おかげさまで嘘のように姉も楽に浴槽内から立ち上がることができ、入浴を続けることができています」
費用は(1)浴槽用簡易手すり15,000~20,000円、(2)浴槽内椅子(高さ調節可能でストッパー付き)15,000円前後、滑り止めマット5,000円~。(1)(2)は介護保険の認定を受けている方は購入費の補助が活用でき全費用の1割負担で利用ができますので、購入の際には店舗の方にお伝えください。さらにもう一度管理会社に手すりの取り付けやリフォームについて、ご相談されるようにおすすめいたしました。
■人的サービスの利用も検討しましょう
在宅の浴室をリフォームや福祉用具で安全な環境に整える方法をご案内させていただきました。他にも、安心な入浴のためにはいくつかの在宅サービス(介護保険対応)があることをご存じでしょうか。自宅での入浴時にホームヘルパーや看護師による人的なサポートサービスをお願いすることができます。簡易浴槽を積んだ移動入浴車で看護・介護スタッフが自宅を訪問。寝たままで入浴させてもらえる訪問入浴介護というサービスもあります。また、デイサービスを活用して週に2~3回外出し、介護スタッフに入浴を介助してもらうという安心な方法も選択ができます。この方法では、人とのコミュニケーションの時間にもなり気分転換にもなります。入浴には歩く、立つ、座る、またぐ、着脱、洗う、温まるなどさまざまな行為が生じますから、介護スタッフから専門的な介護のコツを学ぶこともできます。気兼ねなく上手に活用しましょう。
高齢者にとって急激な変化はかえって事故の原因や自立を妨げることにもつながります。慌てて大掛かりで高額なリフォームと飛びつく前に「ヒト」「モノ」「ハード」の3点から総合的に検討されることをおすすめいたします。
■日頃からの情報収集
日頃から上手にリフォームに関する情報を得ておくことをおすすめいたします。最近ではインターネットからもリフォームに関する情報が得られます。日頃からの情報収集も大切です。
これまで私もずいぶん参考にした心強い情報の数々をご紹介いたします。
※展示場は残念ながらそう多くないのが日本の現状ですが、各地域の情報はお住まいの市区町村の窓口か、地域包括支援センターにお尋ねください。
皆さんの夏仕度はいかがですか?今年、何回目の夏を迎えますか?
朝顔が咲き、花火やお祭りと季節行事の楽しい夏ですが、夏バテ予防や熱中症、脱水症予防など体のケアが大切な季節でもあります。冷えた室内と暑い屋外の行き来は体温調整をする自律神経の働きを乱し、免疫や内臓の働きに影響を及ぼしてしまいます。冷房の効いた室内でじっとしていることなく適度に汗をかき、体を動かすことを心がけてください。エアコンはドライ機能を活用し外気との差が5℃以内になるように心がけましょう。
喉の渇きの自覚が少ないことが高齢者の特徴です。水分が不足した状態でいるとぐったりとして意識がもうろうとしてきます。入浴や運動など汗をかく前後には十分な水分補給を心がけてください。飲みやすい携帯飲料も市販されていますから、身近に水分をおいて摂取しやすいよう配慮しましょう。水分だけではなく塩分も必要です。スポーツ飲料などにはナトリウムやカリウムも含まれ体液に近い電解質を得ることができます。夏バテ予防の食事には良質なたんぱく質やビタミンB群が役立ちます。あっさりした冷たいものばかり食べていると栄養が偏り疲れやすくなります。ケアする人にとってもスタミナが必要です。豚肉、ゴマ、ニラ、鰻、お酢などはスタミナアップに最適です。元気に夏を楽しめる体つくりを心がけてください。
6月末、船に乗って素朴な島、大島に出かけました。人のいない静かな島にはもう蝉が鳴き、ひと足早い夏が訪れていました。天気は大雨と霧、のち快晴、島を探検し緑美しい三原山の温泉にゆっくり浸かりました。鶯や蛙の鳴き声が響き渡っています。人のいない黒い砂浜には、ただただ繰り返し波が寄せ、そこに住む生き物がいて、青い空がありました。砂浜に寝転がって、思春期の頃に手にした1篇の詩集をぼんやりと思い出していました。
最低にして最高の道 高村 光太郎
もう止そう。
小さな利欲と ちいさな不平と
ちいさなぐちと ちいさな怒りと
そういううるさい けちなものは
ああきれいにもう止そう
わたくし事の いざこざに
みにくい皺を縦によせて
この世を地獄に住むのは止そう。
こそこそと裏から裏へ
うす汚い企みをやるのは止そう。
この世の抜け駆けはもう止そう。
そういうことはともかく忘れて
みんなと一緒に大きく生きよう。
見かけも値もない裸の心で
らくらくと、のびのびと、
あの空を仰いでわれらは生きよう。
泣くも笑うもみんなと一緒に
最低にして最高の道をゆこう。
子供であっても大人であっても、ただじっとしていたい時があります。そんな時は無理をせずに心のまま静かに過ごします。大自然に身を置いていると人の力のはかなさ、偉大さ、そして自分の存在の小ささと大きさを感じます。人はそれぞれ異なった考えやこころ、体を持っています。人を支えることも共に生きることも孤独に耐えることも、困難の連続です。我慢しないでたくさん話して思いっきり泣ける時間も持ってください。周囲から少し離れて空を見上げ心を休めてください。砂浜からじんわりとやさしさが伝わってきます。
2009年6月 世界三大流動性火山のひとつ 三原山
前夜の大雨が上がり快晴。朝早く露天風呂に浸かりながら三原山を望む。
この後火口付近にある三原神社まで登頂しました。
茨城からみえたという腰の曲がったおばあさんが娘さんと一緒にこの山を登っていて驚きました。
お顔も声も足もお元気です。山ではすれ違う人それぞれにご挨拶です。
大島には大きな産業がありませんが、椿が生息し豊かな自然環境の残る小さな島でした。
我が家のゴザと椿油 http://www.tsubaki-abura.com/
髪のお手入れには長年、椿油を使っています。
元町にある高田製油所を訪れて4代目の高田さんより油ができるまでの過程をおしえていただきました。
古典的な圧搾法で“やぶ椿”の実から丁寧に抽出されている「大島純粋三原椿油」。本物です。
平安時代から女性の黒髪を守ってきた油。入浴できない日、頭皮や手足のマッサージにも使え、天然植物油はケアの必需品です。