
今回は、熱中症の予防と対策についてお話しします。
■水は生命の源です
私たちの体の60~70%は水分でできています。
毎日飲んでいる水のことをゆっくり考えてみたことがありますか? 水は体の中で大切な役割を果たしています。水分を摂ることは健康で幸せな暮らしに大きな影響を与えているのです。
植物と同じように水分の摂取が不足すると人も枯れてしまいます。もともと水分量の少ない高齢者にとっては命を落とす危険も…。
毎日の暮らしに欠かせない体中の水の知識、夏の上手な過ごし方、熱中症の予防についてお伝えします。
8月は1年の中で最も暑い季節です。毎年30℃を超えるあたりから熱中症による死亡者が増え始めてしまいます。中でも高齢者の熱中症の発生数は年々増加していて、昨年の熱中症により死亡された方の、約75%が65歳以上と報告されていますので注意が必要です。地球温暖化と高齢社会現象により年々熱中症対策は重要な課題となっています。
■熱中症とはどんな状態?どんな時に起こりやすいの?
熱中症とは高温多湿の環境により、体の中の水分や塩分のバランスが崩れ、脱水やけいれんなどが起こる状態です。
熱中症は「気温や湿度の高い日」や「風が弱く陽射しが強い日」はもちろん、「梅雨明けの蒸し暑い日」など、急に暑くなって、身体が暑さに慣れていない時にも起こりやすいので、注意が必要です。熱中症と聞くと屋外でのスポーツマンや労働者のみがかかる症状と思っている方がいるかもしれませんがそうではありません。特に高齢者の場合、喉の渇きを自覚しにくいことや、そもそも体の水分予備量が少ないことなどもあって、外出時や屋外だけではなく、室内でも脱水症や熱中症に陥りやすいので注意してください。夏に暑い室内でぐったりしていたら、まずは熱中症を疑ってみることが必要です。
■熱中症が疑われる症状は?
○軽い状態では立ちくらみや筋肉の痛みや硬直・こむらがえりなど。
○中等症では頭痛、気分の不快吐き気嘔吐、倦怠感などで、重症になると意識障害、けいれんなど体に触ると熱い感触です。
○軽症の段階で、すぐに涼しい場所へ移り体を冷やすこと、水分を与えることが大切です。熱中症の危険信号についてお伝えしましょう。
(1)高い体温、赤い熱い乾いた皮膚(触るととても熱い)。
(2)ずきんずきんとする頭痛、めまい、吐き気。
(3)意識の障害(応答がおかしい、呼びかけに反応しない)。
…こういった場合には、積極的に熱中症を疑ってください。
■具体的な応急処置としてできることは?
- 体を冷やし水分を補給することが原則 -
○体を冷やし楽な姿勢を
できるだけ早く体を冷やし、涼しい環境へ避難しましょう。
衣服を脱がせて、氷嚢があれば頸や脇の下、足の付け根の股関節部(そけい部)に当ててください。血液を冷やすことが有効です。
○水分・塩分の補給をしてください
意識があったら水分・塩分の補給をしましょう。冷た過ぎる水分は身体を冷やし、胃腸に負担をかけやすいので、避けてください。
また汗とともにナトリウムも排出していますので塩分の摂取も重要です。
※塩分と水分が適切に補えるスポーツドリンクなどが最適ですが、高血圧などの持病がある場合には問題になりますので、かかりつけ医によく相談を。
○意識がもうろうとしていたら
水分は誤って気道に流れ込む可能性があるので禁物です。体を冷やしながら緊急で医療機関に搬送することを優先してください。
■熱中症にならないために、日頃から注意しておくこと
(1)こまめな水分摂取を
高齢者は喉の渇きを自覚しにくくなりますので、夏には特にこまめに水分を補給しましょう。運動や入浴など汗をかく前には特に必要です。水分摂取は脳梗塞などの予防のためにも役立ちます。水筒を手元においておくなど水分を取りやすいよう配慮してはいかがでしょうか。
水分を嫌う場合にはスイカ、桃など水分の多い果物で補給したり、むせやすい人にはとろみのついたゼリー飲料なども便利です。
また、汗をかいた時には水分とともに塩分の補充も必要です。気軽にとれる熱中症対策の塩飴は手軽に美味しく(レモン風味)塩分が摂取できます。

市販されている熱中症対策のサプリや飴には塩分が多く含まれています。
発売元:井関食品・株式会社 健康体力研究所 LK・桐灰化学株式会社など。
(2)部屋の環境を整えましょう
高齢者は温度感受性が鈍くなり、暑さを自覚しにくくなりますので、部屋に温度計を置き、こまめに部屋の温度をチエックすることが大切です。
換気にも気をつけ、風通しのよい部屋にしましょう。
(3)適度な運動も大切です
日常的な運動習慣で汗をかき、熱を放散する能力があると、暑さに対する耐性ができます。暑いからといって涼しいところでじっとしているのではなく、運動や涼しい時間帯のお散歩などで体を適度に動かしましょう。
(4)外出は時刻を選んで服装にも気をつけましょう
暑い時間帯の外出は避け、吸収性、通気性のよい衣類で爽やかにおでかけしましょう。帽子の着用も忘れずに。
(5)日頃の健康管理も大切です
睡眠不足、発熱、疲労、下痢、二日酔いなどには注意しましょう。
<参考文献>
・環境省熱環境保健マニュアル2009.6改定版
・介護基礎 脱水症の医学/竹内考仁氏
・高齢者ケアマニュアル/福地善之助
■その他お役立ち情報
※環境省では熱中症に関する予防情報の提供を行っています。携帯電話用の情報サイトもありますのでご参考になさってください。
・環境省熱中症予防情報
http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/
※最近ではコンパクトな携帯型熱中症計も発売されています。1台1,050円です。熱中症の危険度レベルを5段階に分けて知らせてくれます。温度計と同じように部屋にかけて指標とするのもよいですね。
・財団法人日本気象協会「携帯型熱中症計」
http://www.jwa.or.jp/
財団法人日本気象協会のTOPページから【トピックス】 → 2009年6月10日の記事を参照してください。
くるくると首を振る扇風機の風をあびながら部屋の窓から空を見上げています。青い空にもくもくした白い入道雲が浮かんでみえます。夏の空です。子供の頃、真夏は遊び本番の季節。プールで真黒に日焼けしながら、海で砂のお城を作りながら、今と同じように見上げた入道雲。あの日と同じようにぷかぷかと夏の雲が浮かんでいます。今思えば蝉にごめんなさいですが、蚊に刺されながらの蝉取りも毎日の日課でした。隅田川沿いにあるこのマンションでも蝉の鳴く声が聞こえてきます。みんみん鳴くのはみんみんゼミ、しゃんしゃん鳴くのはクマゼミ、一番好きなのは夕暮れにカナカナ鳴く蜩(ひぐらし)。少しもの悲しく聴こえます。夏をむかえ、秋をむかえ、冬をむかえ、私達は様々な工夫をし、自分で自分の質問に答えながら前に前に少しずつ進んでいきます。
身近な高齢者にひとつ“夏の思い出”を尋ねてみたらどんな答えが返ってくるでしょうか。高齢者の認知機能の低下に対するセラピーに“回想療法”という心理学的な援助法があります。健康な高齢者にとっても人生回顧=ライフレビューとして応用されています。自分にも、目の前の人にも、思い出話に耳を傾けてみる小さな夏休みがあってもよいですね。
10代の夏休み…私は吹奏楽コンクールのため、朝から夕までフルートの猛練習。毎年休日はほとんどありませんでした。来る日も来る日もロングトーンで始まる練習。思春期に遭遇した数々の困難や苦しみや疑問、そして願いは息に思いっきり込めて音にし続けました。最後のコンクール会場となった杉並区普門館でのフルートのsoloの響きは、私にとって生涯の宝物となり、今でも“強く願い努力し続ければどんな困難も乗り越えられる!”と私を励まし続けてくれています。形にならない宝物には価値があります。入道雲の白さとともにフルートを吹き続けた青く熱い日を思い出します。
体力が必要な暑い夏を快適に過ごすためにはちょっとした工夫が必要ですが、暑いからといって閉じこもってばかりではせっかくの四季も楽しめず、体や心の機能を低下させてしまいます。
線香花火の灯りを小さくなって見守ること
風鈴のよい音で風の動きを感じること
懐かしい蚊取り線香の香りを嗅ぐこと
冷たい水に素足で触れること
綿の浴衣や麻のワンピースを纏うこと
夏の詩や小説を探して読むこと
ぼけっとしながらよく冷えたビールを飲むこと(これも最高)

2009年7月
筆者実家の裏、八幡神社の夏祭り
子供の頃から変わらない
素朴な海辺の町の恒例行事です。
これらはみんな私の夏の暮らしの楽しみごとです。子供の頃のように長期間の夏休みは取れないけれど、身近な暮らしでも楽しめる要素はたくさんあります。人間が本来持っている素晴らしい機能は存分に使いましょう。もしも体やお金が十分に動かなかったとしても、五感をフルに使って心を動かし、日本の夏、今を楽しんでください。