介護マガジン

はじめての介護

介護保険で利用できる福祉用具

体の機能が衰え、毎日の暮らしに不便を感じ始めた時に、ちょっとした工夫やサポートで再び安心して在宅で暮らし続けることができます。そのひとつである介護生活用品は私達の暮らしの心強い味方です。介護を受ける方だけではなく、介護する方の負担も軽減します。また介護は長期にわたる上、介護用品は高額な商品が多くありますので介護保険制度を上手に活用することで介護生活にかかる費用の節約もできます。
今月は幅広い介護生活用品の中で、介護保険制度が利用できる福祉用具とその活用方法についてご紹介いたします。

介護保険制度では【福祉用具レンタル・12種目 】と【福祉用具購入費の支給・5種目】があります。

【福祉用具レンタル】
福祉用具レンタルは国が指定した12種類の福祉用具を指定事業者からレンタルでき、レンタル料の1割が自己負担となる仕組みです。レンタルできる商品は下記12種目です。

≪表1 福祉用具レンタル…12種目≫

  1. 車椅子
  2. 車椅子付属品(クッションなど)
  3. 特殊寝台(電動ベット)
  4. 特殊寝台付属品(マットレス、サイドレール)
  5. 床ずれ予防用具(エアマットなど)
  6. 体位変換器
  7. 手すり
  8. スロープ
  9. 歩行器
  10. 歩行補助杖
  11. 認知症高齢者徘徊感知機器
  12. 移動用リフト

 

福祉用具の活用も[福祉用具貸与・購入]という介護保険サービスのひとつです。ケアプラン全体のコーディネートが必要です。本当に必要なのか、自立を助けるものか、妨げるものになっていないか、福祉用具が利用者の状態に合っているか、など専門的な知識が必要ですので、必ず担当のケアマネジャーに相談することが必要です。
2000年、介護保険制度開始後は車いすや電動ベッドを必要としない方も使用してしまい、身体の機能を低下させてしまうという状況が発生したため、2006年より利用できる対象者が限定されました。表1の1~6・11・12の福祉用具については要支援1~要介護1に認定された方は原則として全額自己負担となりますのでご注意ください。ただし、介護度が低くても疾患の特性上など特別な事情がある場合には考慮されますので、ケアマネジャーに状況を詳しくお伝えください。

【福祉用具購入費】

支給の対象となる商品は5種目。排泄用品、入浴用品などで直接肌に触れて使用する用品です。支給の上限額は10万円。(期間は毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年間)購入費の1割が自己負担となります。支払方法は償還払いとなります。償還払いとは、例えば2万円の家具調ポータブルトイレを購入したら、いったん全額の2万円を指定事業者(介護用品売り場など)に利用者が立て替えて支払い、後日市区町村に申請し、9割の1万8千円の払い戻しを2~3ヵ月後に受けます。購入したお店では介護保険の認定を受けていることを必ず伝え、申請に必要な書類をいただきましょう。後日「介護保険居宅介護支援福祉用具購入費支給申請書」に必要事項を記入し、商品の領収書や商品の概要がわかるパンフレットのコピー等を添付して市区町村に申請します。

 

≪表2 福祉用具購入費支給…5種目≫

  1. 腰掛便座
  2. 特殊尿器(尿が自動的に吸引されるもの)
  3. 入浴補助用具(入浴用椅子、浴槽内椅子、入浴台など
  4. 簡易浴槽
  5. 移動用リフトのつり具

 

図1 介護保険が利用できる福祉用具
※画像をクリックするとPDFファイルが表示されます。プリントアウトしてご利用ください。

介護保険が利用できる福祉用具

ケアデザインプラザ「よみっきりマニュアル 介護保険」より

 

図2:介護保険 レンタルの場合
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介護保険 レンタルの場合

 

図3:介護保険 購入の場合
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介護保険 購入の場合

寒い冬の間の楽しみのひとつに富士山を眺めることがあります。
日本最高峰の富士山、語源は不二の山。“日本最高峰で並ぶものがない「不二」の山”の意味で、鎌倉時代以降に現在の富士の山に転じたそうです。寒い冬の間は富士山が最も美しく見える季節です。白く雪化粧した富士山は澄みきった空気の中に凛として、背後の空の鮮明な青さも富士山を美しく映しだします。

冬の寒さは高齢者には堪えます。身支度にも準備がかかり外出も億劫になりがちです。ところが、誰もが寒い寒いと出かけても、富士山を見ると明るい表情になります。そのことを知っている母は、父のお気に入りのセーターを用意し、あたたかい静岡茶を水筒にたっぷり注ぎ、おだんごを父と一緒に選び、まもなく84歳になる父を上手に外出に誘い楽しみます。目的地は富士川の河川敷です。悠々とした富士山の姿に、父は「きれいだね~」と優しい笑顔がこぼれます。

大きかった父の背中は昨年の圧迫骨折を経て、この一年で随分丸く小さくなってしまいました。 私「一緒に歩こう。富士山がもっときれいだよ。(笑顔と手)」
私は歩くことに自信を無くし、歩こうとしなくなりつつある父と手を繋ぎ並んで歩きます。
父「自分の足で歩きたいけど歩けないのが辛いんだ」
父が決して声にしない心の声は娘の私に、妻である母に、痛いほど伝わってきます。一歩でも多くと願いをこめながら父のペースでゆっくりゆっくり歩きます。大地を見る。少し先を見る。山を見る。空を見る。少し休憩。振り向くと海。私達を軸にしてぐるりと大きな自然が見渡せます。また少し歩きます。畑から出てくる野良猫にも声をかけ餌をあげます。私達は歩いてきました。一日も休まずに歩いてきました。そしてまた一歩一歩と未来に歩いてゆきます。歩いても歩いても、歩いてゆきます。人間が持つ平等な定めは年老いてゆくこと。健康な時には意識しないこの一歩一歩が体を、脳を、活性化し健康を支えています。

父「山眠る 山のふもとに海眠る かなしき春の国を旅ゆく… 僕の好きな歌だよ。この場所にあうね。」
私「沼津に惹かれた若山牧水だね。春のうた、いいね。」
   「今度歩く時にも何か歌を詠んでね。」

父の今の気持ちを私には思い図ることはできませんが、昨日も明日もなく、今この時間を歩いている私たちの様子を富士山が大きく見守ってくれているようです。
介護は特別なことではありません。共に歩く、共に食べ笑う。そんな時間に感謝できる時の流れを感じながら1週間おきに新幹線に乗り帰省を続けています。

  • 3月 富士宮市より望む雪化粧した富士山

3月弥生、これから富士山には霞がかかる日が多くなります。出逢いや別れ、そして変化の多い季節ですね。厳しい冬も間もなく終わり、季節も時代も巡ります。皆様もフレッシュな気持ちでそれぞれの春をお迎えください。

※今月の美しい写真は遠い昔、川上医院で働いていた“さとこさん”のご主人が撮影してくださったものです。ご主人は現役のやさしいおまわりさんです。

3月 富士宮市より望む雪化粧した富士山
Photo by 大島則雄