介護マガジン

はじめての介護

介護保険制度の住宅改修を活用しましょう

筆者 川上氏のコメント

さて、今月の「はじめての介護」は住まいのお話です。

皆さんの住まいは自分のライフスタイルに合っていますか?自分のからだに添っていますか?
住まいは暮らしの基本です。もっと大きくいえば、生きることの基本です。毎日過ごす住居は自分流に工夫しながら暮らしの心地よさを楽しみたいものですね。ところが、介護が突然必要になったり、加齢によりからだが変化し始めると、住み慣れた住まいに思いがけない不都合が生じます。そのままにしておくと、転倒などの事故が起こったり、関節や足腰に知らず知らずに負担をかけてしまうことになります。長年住み続けているからこそ、住宅に大きな手を加えるという発想は起こりにくいものですが、高齢期にはからだに住環境を合わせるという発想が必要です。今月はまず介護保制度のひとつである住宅改修サービスの活用方法をご紹介させていただきます。

介護保険制度を活用してリフォームができます

介護保険制度のサービスに住宅改修費の支給があることをご存じでしょうか。在宅で生活するために必要な住宅改修の費用が支給されます。支給上限額は全国一律で要介護者一人に付き20万円。その内1割が自己負担となります。利用回数は原則1回ですが、引っ越しや要介護度が3以上あがった場合には、再度支給が受けられます。支給対象となる住宅改修の種類は手すりの設置、段差解消のためのスロープ設置、滑りにくい床材への変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器などへの便器の取り替え、と大掛かりなリフォームではなく小規模なリフォームに限定されていますのでご注意ください。(表1参照)

リフォームを考える時は、自宅での生活動作を見直してみることから始めてください。
玄関や浴室、トイレ、無理な姿勢で移動していませんか?入浴中出入りが大変で困ったことはありませんか?
1本の手すりを適切な方法で適切な位置に取り付けるだけでも動作が安全でスムーズに改善します。まずは住み慣れた住居を新しい目線で見直してみましょう。


表1 住宅改修サービスとは
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住宅改修サービスとは


表2 改修工事の申請に必要な書類
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改修工事の申請に必要な書類


住宅リフォームをする際のポイント

まずは相談してみましょう

「退院してもこのまま自宅には戻れない」「玄関の大きな段差が最近は辛く関節が痛む」「お風呂で転びそうになって入浴が不安になった」日頃のご相談でよく耳にする言葉です。
毎日の習慣だった行動がとれず不自由や不便を感じ始めたら、まずは誰かに相談することから始めましょう。入院中の方はリハビリの専門家に。担当のケアマネジャーがいる方はまずケアマネジャーに。その他の方はお住まいの地域の市区町村の高齢福祉課や介護保険課、または地域包括支援センターなどに電話をしてみてください。地域によっては独自の相談室や展示場を持っているところもあります。どんな方法があるの?いくらかかるの?自分だけの考えでやりすごさないことが、住環境を整えるためにはとても大切なことです。

事前申請が必要です

介護保険制度の住宅リフォームを利用する際には、工事前に市区町村への事前申請が必要です。慌ててリフォームを行ってしまうと、この支給費を受けることができなくなってしまいます。改修前後の写真や書類が必要となりますから、担当のケマネジャーや相談員がいる方は必ず事前に相談しましょう(表2参照)。改修費用はいったん利用者が全額を支払い、市区町村に申請した後、費用の9割の払い戻しを受けます(償還払い)。実際にかかる費用は、家屋の構造、工事内容、使用商品などによって大きく異なります。助成費をオーバーした金額は全額自己負担となりますので、総合的に費用計画を立てるようにしましょう。住宅改修サービスの利用手順については表3をご参照ください。


表3 住宅改修サービス利用手順
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住宅改修サービス利用手順

リフォーム業者選びは慎重に

リフォームを請けてくれるところは地元の工務店、リフォーム事業者、建築会社などがあります。住宅リフォームには事業者の指定がありませんが、事業者選びは慎重に行いましょう。高齢期のリフォームはからだの状態をよく観察し、合わせることです。そのためには介護の状態と住まいの状態の両方を見てプランを立てることです。リフォームを依頼する際には介護保険制度のリフォームの実績を尋ねる、からだの状態や改善したい生活動作などをよく伝えるなど、利用者側にも注意が必要です。
経験ある専門家はリフォームをすることにより生活がどう変化するか、からだに及ぼす影響などを説明してくれ、自分たちでは気がつかない視点もアドバイスしてくれます。

その他のリフォーム助成

お住まいの市区町村によっては、上記の介護保険のサービス以外にも、利用できるメニュー・給付があります(住宅改修予防給付)。必ず事前にお住まいの市区町村の福祉担当課などにお問い合わせください。
介護保険の認定が自立であった場合にも高齢者自立支援改修給付が受けられます。対象者はお住まいの地域によって異なります。

この続きは次回にご案内いたします。


  • あじさいの花

雨 八木重吉

雨の音が聴こえる
雨がふっていたのだ
あのおとのようにそっと世のためにはたらいていよう
雨があがるようにしずかに死んでゆこう





(詩人、八木重吉は生前たった1冊の詩集しか残していません。病に伏してからも詩を書き続けました。素朴で透明な心を語る詩人です。)

雨の季節になりました。いよいよ衣替えです。入梅はまだなのに、窓の外でも緑の葉や大地に雨がしとしとと降り続いています。大地に恵みを与えながら降る雨は心を静かに落ち着かせてくれます。
貧困国であるバングラデシュ(旧東パキスタン)を訪れたことがあります。季節は雨期で国土の多くが水で覆われていました。モンスーン地帯に降る雨の音はしとしとではなくバケツをひっくり返したかのような強烈な雨音。雨はこの国では恵みでもあり森林破壊、土壌劣化にもつながっているものでした。生まれて初めての強烈な天然シャワーは恐怖さえ感じ緊張しました。「知らない土地で流されちゃうかも…」でも“こうなったら雨に私のからだも心もまるごと洗濯してもらおう”私は天からの雨に全身打たれ、まるで周囲の自然と同化したかのような不思議な感覚になったことを覚えています。衛生状態がきわめて悪い国ですが、村人達はこの雨を上手に活用しながら暮らしていました。サリーを纏った女性はサリーを着たままの姿で沼に入り、沐浴とともにサリーも洗濯してしまいます。一枚の色鮮やかな綿布はその後、竹ざおに干され風に揺れます。美しい光景でした。

日本の万葉集には100種もの雨の情景を詠んだ歌があり、こちらは優雅です。雨の意味や雨に打たれることをどう感じるかは国により、時代により、心により異なります。激しい雨、優しい雨、哀しい雨、遠い日の雨。雨の日はそんなことをぼんやりと考えさせてくれます。(参考までにバングラデシュの平均寿命は近年伸びて63歳。65歳以上の高齢者が占める割合は3.5%:日本は22%です。子供達は鉄くずを拾い集めて明日一日生きるためのお金に替えています。)

高い湿度や温度は体調管理が難しく、誰にとっても過ごしにくいと感じるものですが、湿気を上手にコントロールするとともに、からだや心もいたわってきちんとケアしてあげましょう。梅雨の晴れ間には積極的に外出して日光を浴びることが大切です。日光を浴びることでセロトニンという感情をコントロールする脳内物質が心を安定させてくれます。
こんな季節だからこそ部屋の環境を心地よく整えてみましょう。この時期はミントや薄荷、オレンジなどの柑橘系のアロマが爽やかです。私がよく立ち寄るアロマショップ“AROMATIQUE”(東京ミッドタウンガレリア2F)では6月の香りにオレンジスイートやユーカリ、サンダルウッドなどを配合した明るく爽やかな香りをご提案しています。とても良い香りです。風の通り抜けるような爽やかな香りがひとつあるだけで梅雨の過ごし方も楽しくなります。除湿には竹炭や除湿乾燥機の設置も効果的です。さっぱりとお部屋を整えると、心の中もすっきりし、落ち着いて好きな本や音楽で雨の日を楽しむこともできます。冬から春へ、梅雨から初夏へと季節も時代も巡ります。