会場はポートメッセなごやの第3展示場。昨年と同様の盛況ぶりですが、例年以上の盛り上がりを見せていたのが講演会です。下記は、「医療・福祉分野に活かすロボット技術“ロボットスーツHAL開発者の視点から”」という、筑波大学大学院 システム情報工学研究科 山海(さんかい) 嘉之教授の講演風景です。開場前から席を求めて長蛇の列ができ、開場と同時に満席となりました。

【写真】山海研究室ホームページより
ロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)は、体に装着することによって、身体機能を拡張・増幅することができるようになります。医療福祉分野では、リハビリテーション支援や身体訓練支援、身体機能に障害がある方への自立動作支援などへ適用します。
HALをはじめとする山海教授の研究成果を活用することを目的に設立された
サイバーダイン社はこちら→http://www.cyberdyne.jp/
その仕組みですが、人間は筋肉を動かすとき、脳から生体電位信号が発信されます。それを各関節部分に設けたセンサーがとらえ、筋肉が動き出すよりも一瞬早く動き出すことで力を加え、動作を支援するというものです。スーツは約20kgと子供1人分ほどのウェイトがありますが、使用者はHAL自体に乗る形になるため、重みは感じないのだそうです。 この仕組みを構成している1つ1つのテクノロジーについては、詳細に説明されればされるほど、筆者の頭はオーバーフローしそうになりました。それでもこの講演が人気だった理由は、山海教授が現在までの研究経過・成果などはもちろん、むしろ「本当に必要としているところに、テクノロジーが流れていくように!」という理念や、「未来開拓には、夢と情熱と人を思いやる心が必要である」という開発思想を、ご自身がロボット研究に進むことになったきっかけや、研究過程での様々なエピソードを挟んで、楽しくお話いただいたからです。また時には「HALは白だけでなく、赤、青なんかもあるのですが、黄色とピンクは絶対つくらない。『何とかレンジャー』になっちゃいますからね」と冗談を交えます。こうして最後の質疑応答の時間を迎えるのですが、山海教授は、AI(人工知能)は専門ではないが、そういう研究に進みたいという高校生に、真剣にアドバイスをされていました。残念ながら、将来的な普及台数や価格、具体的な施設への導入事例ついては取り上げられませんでした。機会があれば、ぜひそのあたりや、次世代リハビリテーション支援などについて、詳しく取材できればと思います。
ロボット研究へ進むことになったきっかけを、幼少期に書いた作文や当時影響を受けた書籍のスライドを用いて話してくださいました。
HALの利用訓練のスライドでは、頸椎損傷した男性が、HALを身につけた理学療法士に背負われながら行った、スイスの雪山登山のエピソードを交えるなど楽しいお話をしてくださいました。
出展会場では、今回も福祉車両や車いす・歩行器をはじめ、下記のような多岐にわたる製品・サービスが展示されていました。
出展企業には、名古屋をはじめとする中京圏の企業・団体が多く、ローカリティあふれる展示会となっておりました。なかでも目立ったブースと来場者の様子をご紹介します。
毎年大勢の来場者で賑わう自動車メーカーのブース
ダイハツのブースでは、多くの法人のお客様が、車両の予約、管理、請求処理などの作業を軽減する「福祉移送サービス支援ツール」に関心を示していました。
HONDAブースのスクリーンには、ユーザーご本人が登場し、ご自身が今お使いになっているおクルマへ感謝の気持ちや、そのクルマをお求めになったきっかけなどをお話ししており、リアリティがありました。
MAZDAでは、オフロード車いすのコーナーを設置。競技(MAZDA CUP)まで行われているなんて、筆者も初めて知りました。
サラダ介護
サラダ介護では、視覚や関節に負荷を付けながらダーツを試して、高齢者の感覚を疑似体験するというものがありました。最初は何も付けずダーツを投じます。負荷を付けて投じて、その違いから高齢者の感覚をつかむ訳です。
普通の人であれば点数が下がるのですが、中には異様にうまい人もいまして、“差がほとんど無い”なんてことも・・・。
なごや福祉用具プラザ
なごや福祉用具プラザには、多くのコミュニケーション用具などが展示されており、大勢の方が興味深く試されていました。また、昨年に続き今年も、介護用品の“ゆずりたい”“ゆずって欲しい”の掲示板がありました。情報を見る方の眼差しは真剣そのものです。
●(有)ウイット
人に優しく地球にも優しい、天然素材100%の洗剤を用いた清掃事業を展開している(有)ウイット。法人のお客様ばかりでなく、個人のお客様も熱心にアンケートを記入していました。
●(株)ダンワールド
「オーラで健康診断」は(株)ダンワールド。脳科学をもとに開発された独自のヨガと呼吸法で認知症予防やストレス、不眠症など多くのことを解消できる脳トレーニングを紹介しています。
●(株)小松原
健康増進機器を中心とした総合商社、(株)小松原。老化は足からと「スイング大和」を展示。小松原社のブースに限らず、足バイブ&マッサージ製品を大勢の方がお試しになっている光景は、介護・福祉イベントではお馴染みの光景。
●大幸薬品(株)
ラッパのマークの正露丸でお馴染みの大幸薬品(株)では、「クレベリン」という二酸化塩素商品を展示。二酸化塩素の強力な酸化作用で、除菌・ウイルス除去ができるため、感染症対策が可能なのだそうです。
●(株)亘陽
(株)亘陽ではおじいちゃんが、木製車椅子「木楽微笑(きらっくす)」を体感中。脱着式のヘッドレストで、後方からの介助がしやすくなったそうです。
●ヤザキ
ヤザキには、本年度の新入社員なのか、それとも就職活動中の学生さんなのか、ピカピカのリクルートスーツに身を包んだグループが集まり、興味深くスタッフのお話しを聞いていました。
●(株)パイオニア風力機
エアー吸着マットを展示の(株)パイオニア風力機。そこを通ると、思わず足を出し試してみたくなってしまいます。
●近鉄スマイルサプライ(株)
(近鉄スマイルサプライ(株)。お客様が体感されているのは、スタンドアップチェア。リモコン操作ひとつで立ち上がれる車いすです。
●東京パック(株)
手に取って見たくなるのが、東京パック(株)のジャストヘルパーグローブ。五本の指の付け根部分に絞りを入れ、作業中の脱落防止とフィット感を高めています。
●精工技研(株)
入浴リフトを展示していた精工技研(株)。電動や液圧駆動でなく、手動というところがポイント。定期的にプレゼンテーションを行い、少人数であってもコンスタントに集客し、体感いただいている光景は好感が持てました。
●アイシン精機(株)
アイシン精機(株)は、プレゼンテーションタイムともなると、いつも黒山の人集りです。あまりの混みようでしたが、お客様をかき分けて中を覗いてみると、ポータブルトイレ(ベルレット)のプレゼンでした。
「光触媒環境産業展 ~フォトクリンフェア2007~」が併催されていることから、光触媒関連のブースも多数、目にしました。下記はその一部です。個人的な印象ですが、こうした展示会が開催されることから見ても、中京圏には光触媒に携わる会社が多いような気がします。
●(株)鯤コーポレーション
(株)鯤コーポレーションは、名古屋市工業研究所と共同で、商品開発をしているとのこと。
●ジェット(株)
何か投影でもするのかな?と思わせるこちらの装置も光触媒関連商品。これはジェット(株) の自然対流式光触媒空気清浄機で、これ1台で、約6~8畳のお部屋まで効果があるそうです。
●美濃焼CTタイル
「光」を必要としない新方式のものまで。 美濃焼CTタイルは、電荷移動による酸化還元方式のため、光や水を必要とせず、汚れを防ぐのだそうです。
概要
| 開催趣旨 |
少子高齢化が進む中で、福祉用具など福祉・健康にかかわる製品・サービスなどを広く紹介し、新しい産業分野である福祉・健康産業の振興を図るとともに市民生活の向上に資することを目的に開催します。 |
| 名称 |
第10回国際福祉健康産業展~ウェルフェア2007~ |
| 開催期間 |
平成19年(2007年)5月18日(金)~5月20日(日) 3日間
開場時間 午前10:00~午後5:00 |
| 会場 |
ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)第3展示場
〒455-0848 名古屋市港区金城ふ頭2丁目2番地
TEL:052-398-1771 FAX:052-398-1785 |
| 主催 |
名古屋国際見本市委員会
(構成: 名古屋市、愛知県、名古屋商工会議所、日本貿易振興機構(ジェトロ)名古屋貿易情報センター、(財)名古屋都市産業振興公社)
(社福)名古屋市総合リハビリテーション事業団(なごや福祉用具プラザ) |
| 共催 |
中日新聞社、日刊自動車新聞社 |
| 広報協力 |
シルバー新報 |
| 後援 |
厚生労働省、経済産業省、NHK名古屋放送局、(社福)NHK厚生文化事業団、(社福)中日新聞社会事業団、(社福)朝日新聞厚生文化事業団、(財)毎日新聞中部社会事業団、(社福)読売光と愛の事業団中部支部(順不同) |
| 協賛 |
(社)日本自動車工業会、(社)シルバーサービス振興会、(社)日本医療法人協会、(社)日本病院会、(社)全日本病院協会、(社)全国老人保健施設協会、(財)日本障害者リハビリテーション協会、(社)日本理学療法士協会、(社)日本作業療法士協会、(社福)日本身体障害者団体連合会、(財)テクノエイド協会、(社)日本福祉用具供給協会、(社)日本衛生材料工業連合会、(財)日本訪問看護振興財団、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本福祉用具・生活支援用具協会、日本在宅医療福祉協会、(財)共用品推進機構、有限責任中間法人日本在宅介護協会、保健医療福祉情報システム工業会、愛知県医師会、(社)名古屋市医師会、(社)愛知県医療法人協会、愛知県老人保健施設協会、(社)愛知県病院協会、(社)愛知県薬剤師会、日本赤十字社愛知県支部、(財)愛知県シルバーサービス振興会、(社福)愛知県社会福祉協議会、(社福)名古屋市社会福祉協議会、(社)愛知県看護協会、愛知県弁護士会、(独)高齢・障害者雇用支援機構愛知障害者職業センター、名古屋市介護サービス事業者連絡研究会、(財)日本健康・栄養食品協会 |
| 出展内容 |
福祉車両・車いす・介護用品・入浴関連・介護用ベッド・住宅設備・健康増進関連・各種福祉関連サービスなど |
| 併催催事 |
講演会・シンポジウム・出展者ワークショップなどを開催します |
| 入場料 |
無料 |
| 来場者数 |
80,681人 |
| ホームページURL |
http://www.nagoya-trade-expo.jp/welfare/ |