■ ユニ・チャーム・ヒューマンケア株式会社「ヒューマニー」

右が尿吸引ロボの本体、左が専用の尿吸引パッド
H.C.Rでは毎回、排泄ケアに関する福祉関連機器が数多く出品されます。その中で今回注目したのは、ユニ・チャーム ヒューマンケア株式会社の「尿吸引ロボ ヒューマニー」です。
この製品は、専用の尿吸引パッドに内蔵されたセンサーが排尿を検知して、尿を瞬時に自動吸引するというもので、キャッチフレーズは「朝までお肌を濡らさない」。
吸引された尿はチューブを通して尿吸引ロボ本体のタンクに溜められ、1リットル分の尿を収容できます。
使い方としては、まず夜間に使用することをすすめていました。一晩中の尿を自動で吸引するので、夜間のおむつ交換がなくなり、介助者は朝まで眠ることができるようになるとのこと。また、尿を吸引したあとのパッドはサラッとしているので朝まで肌が濡れず、付けている方も朝までぐっすり眠ることができるそうです。
また、尿の量が多い男性だと通常のおむつでは外モレを起こすことが多いそうですが「ヒューマニー」を利用すれば尿を瞬時に吸引するため、漏れる心配もなくなります。おむつの使用量を減らせるので、ゴミが減らせるのも大きなメリットです。
“ロボ”という言葉の響きから、何となく大きな機械を想像しましたが、デモで実物を見たら、電気ポットのような形状で、とてもコンパクトなのには驚きました。また、バッテリーやキャリングケースも用意されており、外出時、例えば車の中など持ち運んでも利用できることまで配慮されています。
「ヒューマニー」は小売希望価格10万円(非課税)で、介護保険対象品のため、居宅向けは自己負担1割で購入することができます。
「ユニ・チャーム・ヒューマンケア株式会社」は、ユニ・チャームと日立製作所の共同出資によって2009年3月に設立した、新しい企業です。吸収体専業メーカーであるユニ・チャームと、優れたポンプ技術を有した日立製作所がそれぞれの持つ技術を持ち寄り「人とロボットの共生による介護革新」の理念の元に「ヒューマニー」の開発を行ったそうです。
介護する方が夜中に起きてのおむつ交換は日々の生活の中で大変な苦労であると、たびたび耳にします。介護する方の長時間外出が可能になるのも魅力です。福祉分野においても小型化・省力化に関する技術革新が進み、暮らしを快適にする、そのひとつの形を目の当たりにできたように思いました。
■ 株式会社岡田製作所「楽々きれっと」

ペーパーで水滴を拭いているところ。
次も排泄ケアの製品を紹介します。
株式会社岡田製作所が出品していた「楽々きれっと」は、温水洗浄トイレの便座に取り付けてお尻を拭いてくれる「ロボットアーム型拭き取り装置」です。キーワードは「トイレの最後の難関はお尻を拭くことです」。“トイレの介護を人に頼ることなく、ペーパーで拭いてくれて、立ち上がり補助装置も付いているので自分で楽に立って便座を離れることができる”という気配りのある装置です。温風乾燥式もありますが、時間がかかる上、炎症が痛むこともあるそうで、やはりさっぱりと紙で拭きたいという要望から誕生した製品だそうです。
使い方は、まずトイレに座って用を足して水洗浄をした後、アームにペーパーを持たせてリモコンを操作すると、立ち上がり補助装置が上昇し、止まった状態でロボットアームが洗浄後の水滴を拭き取ります。 拭き取りが完了すると立ち上がり装置が上昇して、自分で楽に立ち上がることができるようになっています。拭き取りの位置はリモコンで前後左右の調整ができます。また、拭き取りの圧力の変更も可能で、その設定の保存もできるようになっているとのことでした。
まだ試作品のため、デモをする度にペーパーをロボットアームに持たせていましたが、実用化の際には内部にペーパーを格納し、自動で拭き取りを行えるようにするそうです。 デモで見せていただきましたが、ペーパーを持ったロボットアームの丁寧な仕事ぶりにやさしさを感じます。
介護状態の方でも、トイレの中のことは自分で始末したいという方も多いはずです。拭き取りを頼むのが苦痛でトイレを我慢してしまうことも起きていたことでしょう。この装置があれば、トイレまで連れて行ってもらえばあとは自分で用が足せる人が増えるかもしれません。
排泄という誰にとっても非常に基本的でプライベートなことを、できるだけ長く自分でできるようにする、そして尊厳が守られる、これも大きな介護予防につながるのではないでしょうか。
■ 株式会社ポピック「在宅ヘルスケアシステム」
一人暮らしをしている高齢者は、体調管理や健康状態を自分把握しにくいものです。同居していない場合など、子供が電話で本人に様子を聞いても、なかなか本当の状況が伝わらず、もどかしく思うことも少なくないようです。もし、日々の生活パターンそのままで体調のチェックができたら、さらに健康データを医療機関などでデータ管理ができたら安心です。そんな在宅ヘルスケアシステムが開発されています。
この製品は、金沢大学自然科学研究科・射水市民病院・藤元早鈴病院の共同研究開発で誕生した、在宅ヘルスケアシステムです。
どんな方法で体調チェックを行うのか詳しく伺うと、基本はベッドで寝たり、お風呂に入ったり、トイレに行ったりと、日々の生活における様々な生データの採取にあるということ。例えば、枕の下にフラット型センサを設置すれば、いびきの多さ、心拍数・呼吸数からよく眠れているかどうかを測る睡眠の状況、無呼吸状況がないかどうかを測る無呼吸症候群の有無がわかります。お風呂では湯船の中にセンサを取り付け、心電図、風呂に浸かっている長さ、湯加減と心拍数の関係、などがデータで把握できます。トイレでも血圧、尿や便の量、体重を量ることができるそうです。排尿速度もわかるので、前立腺肥大の疑いまで感知できます。
自動測定したデータはモニターに表示され、もちろん自分でも確認することができますが、ネットを通じて医療施設などに送信されて管理・解析、異常があればすぐに対応できるようになります。
自分で通常の生活を送れている方でも、高齢になるにつれ体に心配なことも増えてきます。早い段階で健康状態をキャッチすることで、不具合が見つかっても軽症のうちに治療や対応ができるため、“介護予防”にもつながるとのことでした。

センサーが取り付けられた浴槽。
隣はセンサーの結果が表示されている。 
普通の洋式トイレに取り付けるだけで
体重、血圧、排尿速度などが測定できる。
■ パナソニック株式会社「ロボティックベッド」
パナソニックのブースの前では、これから「ロボティックベッド」のデモンストレーションが始まるとのアナウンスがあり、来場者が続々と集まってきました。ロボティックベッドとはいったい何?というわけで、私も輪の中に加わり、じっくり見てきました。
「ロボティックベッド」とは、ベッドから車いすへ変形するので、移乗する必要がなく、寝たきりから解放されるという自立/介護支援ロボットとのことです。まだプロトタイプだそうで、カーブした半透明の屋根の付いた形は未来的&ロボ的な雰囲気を醸し出しています。
音声入力に対応しており、モデルの女性がベッドに横たわり、声を出して「車いすになって」と命令を出します。するとゆっくりと背もたれ部分が起き上がり、足も少し持ち上がり、車いす部分が真横にスライド、徐々にベッドから分離していきます。そしてゆっくりと車いすの形状になりました。車いすの運転は肘掛け部分についたコントローラーで行い、スムーズに移動できます。モデルの女性はテーブルに移動し、自分で食器を用意して食事をするシーンを再現していました。
そこから、またベッドに戻っていく時は、車いすがベッドに近づくと、「見たままインターフェース」とネーミングされたスイッチが光り、スイッチを倒すとゆっくりと背もたれが倒れ、自動で位置を微調整しながら真横にスライドしてベッドに合体していきました。小刻みに位置を調整しながらベッドに戻っていく様子には驚きました。
車いすとベッドの間の移乗には、要介護者の転倒などの危険が伴い、また介助者が腰を痛めるケースも多いそうです。負担が大きいため、ついつい寝たきりにしてしまうことも少なくないそう。移乗せずに車いすとして移動ができれば、自分自身で自由に行動することができるようになり、家族団らんに加わることができるようになるなど、快適な生活が送れるようになる、というのがこの「ロボティックベッド」のコンセプトです。
参考出品ですが、今後どのような製品として登場するのか、とても楽しみです。

(1)ベッドの状態から… 
(2)徐々に分離していき… 
(3)車いすの形状に変化した!
■ 今年もたくさんの福祉車両が出展
トヨタ自動車
トヨタブースでは、リフトアップシート車、車いす仕様車、フレンドマチック取付用専用車の3カテゴリーの福祉車両7車種を展示していました。
デモンストレーションでは「トヨタウェルキャブツアー」と題し、コンパニオンが見所キーワードを紹介しながら、それぞれの車の特長をお伝えしていました。
今回の目玉は「新型プリウス フレンドマチック取付専用車タイプⅣ」です。これは専用リモコンを使って車いすを電動でルーフ上に格納できる、トヨタ新開発の「ウェルキャリー」を搭載しています。運転席近くに車いすが置かれた状態で、リモコンを操作すると、ルーフ上のウェルキャリーがスライドし、スルスルと吊りベルトが降りてきます。その先のフックを車いすの座面のバンドに引っかけて、リモコンの「上」スイッチを押すと、車いすが畳まれて吊り上げられ、キャリーの中に格納され、キャリーはスライドしながら元の位置に戻っていきました。
この機能には来場者の方々も興味津々だったようで、プリウスの人気とも相俟って、ものすごい数の人がデモンストレーションに集まって、身を乗り出すように見入っていたのが印象的でした。
ダイハツ工業
ダイハツブースでは、タントウェルカムシート、タントスローパー、アトレースローパー、ムーブフロントシートリフトの4台が出品されていました。タントウェルカムシートは助手席が後ろに下がって回転しながら車外に降りてくるので、車いすから移乗する場合でも楽に乗り降りができる車です。また、テレビコマーシャルでもお馴染みの「ミラクルオープンドア」は福祉車両でももちろん採用されていて、センターピラーがなく間口が広々としています。
デモンストレーションでは、姉と妹のお出かけシーンの中でタントウェルカムシートの良さ、特長を伝えていました。
その他では、コンパクトで運転しやすい上に助手席が回転するムーブフロントシートリフトは、女性の人気が高いようで、たくさんの来場者の方が乗り降りを試していました。
アトレースローパーも少し大きい車いすに乗っている方などに興味が高いようでした。
概要
| 期日 | 2009年9月29日(水)~10月1日(木) |
| 主催 | 全国社会福祉協議会 保健福祉広報協会 |
| 後援 | 厚生労働省 経済産業省 総務省 国土交通省 東京都 海外参加国大使館 |
| 協賛 | NHK厚生文化事業団、読売光と愛の事業団、毎日新聞東京社会事業団、産経新聞厚生文化事業団、日本経済新聞社、東京新聞、東京新聞社会事業団、朝日新聞厚生文化事業団、福祉新聞社、日本赤十字社、福祉医療機構、鉄道弘済会、東京都社会福祉協議会、全国心身障害児福祉財団、長寿社会開発センター、シルバーサービス振興会、テクノエイド協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本アビリティーズ協会、日本障害者リハビリテーション協会、日本リハビリテーション医学会、新エネルギー・産業技術総合開発機構、みずほ教育福祉財団、キリン福祉財団、清水基金、みずほ福祉助成財団、松翁会、丸紅基金、三菱財団、損保ジャパン記念財団、中小企業基盤整備機構 |
| 会場 | 東京ビッグサイト東展示ホール |
| ホームページURL | http://www.hcr.or.jp/exhibition/index.html |