介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.116 ●お世辞?ヨイショ?

  • お世辞?ヨイショ?

え~。どうぞ一席、お付き合いを願いますが。

我々、噺家は先輩、師匠方から「芸人なんだから世辞愛嬌がなきゃいけないよ」と言われます。なるほど、無愛想より愛想が良い方がうけも良いようです。世の中も、お世辞があったほうが丸くおさまります。あまりお世辞が過ぎますと「ヨイショ」になりますから、程々がよろしいようで。寺方のほうでも「嘘も方便」などと言いますから、相手が良い心持になるのでしたら多少の嘘も必要なのかもしれません。
確かに本音を言うと、喧嘩になる時があります。仲間でお世辞を言ったつもりが大しくじりしたやつがおります。お世話になっていますお客さんの家へ行きまして、奥さんをほめようとした時にこんなことを言ってしまいました。
「どうも奥様、いつもお世話になっております。いや、奥様いつもお綺麗でお変わりなく。いや本当に変わりませんよ。着ている着物もその帯も」
この噺家、この家は出入り止めになりました。

子供の褒め方も難しいものです。親御さんを良い心持にしなければなりませんから。
「おや、どこへお出かけで?えっ動物園。いいですね、動物園。あら、お子さんですか?かわいいですね。女の子ですか?えっ男の子!あんまり器量がいいから女の子かと思いましたよ。いやあなたに似ても奥さんに似ても器量が良いのはわかってますがねぇ~。おいくつですか?小学校4年生位ですか?えっ!幼稚園の年少~!ずいぶん大きいですね。かわいいし、賢いし、末は楽しみですね。」
「どうも恐れ入ります。これからみんなで焼肉でも食べようかと話してたんですが、どうです。良かったらご一緒に。」
お世辞をうまく使うと一食、助かったりなんかします。これ本音を言うと大変なことになりますから。

「どこへ行くの?えっ動物園?お前が、動物園に行くのお前が。お前は動物園に行く顔じゃないよ。動物園にいる顔だよ。その顔は。えっそこへいるのはお前の子供か?男の子?えっ女の子!それが、あんまり汚いから男かと思ったよ。ほら見ろ、泣いてるじゃねぇか。えっ笑ってるの?その顔が!あんまり情けないから泣いてるのかと思ったよ。気の毒な顔だねぇ~。小学校1年生位か?えっ中学3年生!そんなに小さくてぇ~、かわいそうにね。親の慈悲だよ。早いとこ絞め殺せ!」
「なんだこの野郎!」
喧嘩になったりしますから、やはりお世辞は大切です。

女性の褒め方も難しいものですが、コツがあります。自信のある所は、褒めないそうです。
みんなから褒められるから喜ばない。違うところを褒めます。
目を良く褒められる人には、口を褒めます。
「あら目は褒められるけど、口は初めてよ。」
すかさず一言添えます。
「目のかわいいのは誰にもわかるよ」
お試しください。