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福祉用具の価格通知 伊万里市、大川市、浦添市でも実施 福祉用具貸与価格が著しく高額に請求される「はずれ値」の是正のため、詳細な価格情報を利用者に提供することで、価格競争による適正化を目指した「価格帯通知」が横浜市、広島市で始まっている(『シルバー産業新聞』2月10発行日号既報)。その後の取材で、佐賀県伊万里市、福岡県大川市、沖縄県浦添市でも価格通知を実施していることがわかった。 佐賀県伊万里市は、2009年10月と2010年2月に価格通知を実施した。1回に約400通の通知を発送。通知には商品名と費用額が示され、参考情報として、全国と都道府県の請求件数や最低、最高、平均、最頻度の費用額がある。人口規模から用具ごとの請求件数が少ないため、市の費用額分布はなく、都道府県費用額分布がグラフ化されている。 福岡県大川市は2月に価格通知を約200通郵送した。同市も件数が少ないため、記載内容は自己負担額と公費負担額、福岡県の最低、最高、最頻度の利用者負担額に留めた。価格分布は県データが表で示されている。担当ケアマネジャーと福祉用具貸与事業者には同様の通知を送り、利用者への説明を求めた。 沖縄県浦添市は郵送料や事務作業の増加を抑えるため、ハガキで3月31日に初通知した。見開きハガキサイズという制約の中で事業者名、商品名、本人の費用額、全国平均費用額、沖縄県平均費用額のみのシンプルさで、価格分布の記載もない。今後も年4回の通知を予定している。 小規模福祉施設の防火対策 繰り返されるグループホーム火災 地域密着サービスに火災の脆弱さ露呈 札幌市の認知症高齢者グループホーム「みらい とんでん」で3月13日未明に発生した火災で、7人の入居者が死亡する事故が発生した。延べ床面積は、スプリンクラー整備義務のある「275平方メートル」を僅かに下回っていた。4年前の2006年1月に長崎県のグループホームで発生した火災で7人の死者を出した反省から消防法が改正され、スプリンクラー設置義務が延べ床1,000平方メートル以上から275平方メートル以上に引き上げられていた。住み馴れた環境を大切にする地域密着型サービスの小規模施設は、ケアの場としては優れても、火災など災害には脆弱であることを露呈した形だ。 関係3省庁で緊急プロジェクト 厚生労働省では繰り返される小規模施設での悲劇に、消防法を所管する消防庁、建築基準法を所管する国土交通省とともに「グループホーム火災を踏まえた対策について3省庁緊急プロジェクト」を発足させ、対応の検討始めた。 3月18日の第1回目の会合では、3省庁がそれぞれ所管する法令から、消防庁が「スプリンクラー設備等の設置と設置予定ならびに消防法違反状況」、厚生労働省が「介護保険法に義務付けのある非常災害対策の実施状況、スプリンクラー等設備の設置状況と予定時期、地域との連携状況」、国土交通省が「建築基準法の違反状況」についてそれぞれ調査し、1ヵ月後を目途に報告、具体的な検討に入ることとなった。 プロジェクトを呼び掛けた厚生労働省は「猶予期間中でもスプリンクラー設置を急ぐように市区町村を通じて、グループホーム事業者に呼び掛けてもらう」と今できる対応を進めているとした。今後の方針について「具体的には何も決まっていない」としながらも「275平方メートルの要件をどうするのか」など、消防庁や国土交通省と検討して、なるべく早く対応に移したい」とした。 「夜勤体制の加算」充実には慎重姿勢 また、火災後、マスコミなどで夜勤体制の脆弱さを指摘し、夜勤加算の低さに原因を求める声が高まっていることに対し「費用効果から検討する」にとどまり、予算のひっ迫する中で、手当の難しさを滲ませた。 2012年 公費負担60%に――「介護1,000万人の輪」提言書 キーワードとなる「延べ床275平方メートル以上」だが、2006年の長崎県大村市の火災事故で、消防法改正の議論が厚労省や国交省、有識者などで交わされた際、すべての小規模施設に防火設備を求める消防庁と、地域に密着した小規模施設を推進したい厚労省が、一定の面積要件で妥協した結果だった。 消防庁の調査では、275平方メートル以上とすることで、既存グループホームの約7割がスプリンクラー等の整備義務となるとみているが、問題は「みらい とんでん」のような、3割を占める面積要件以下の施設への対応が急がれる。 「275平方メートル以下」3割の対応急げ 介護保険に関係する有識者らで構成する「介護保険を持続・発展させる1,000万人の輪」(介護1,000万人の輪)は3月31日、提言書「介護保険を持続・発展させるための1,000万人の提言 ―誰もが安心して暮らせる制度をめざして―」を厚生労働大臣並びに各政党に提出した。 提言書では、持続的な制度とするため、公費割合50%を60%に引き上げることを求めていることが注目される。 主な提言内容は ▽介護保険の財政構成のうち公費50%を2012年には60%へ引き上げる ▽介護予防事業の介護保険からの切り離す ▽介護従事者の意欲向上のため、賃金を常勤で年収450万円、非常勤で時給1,800円とする ▽訪問介護サービスの「生活援助」と「身体介護」の区分を「訪問介護」に1本化する ▽福祉用具貸与の利用効果を高めるため、最低6ヵ月に1回の利用状況確認・用具点検を義務づける ▽家族や介護従事者に負担を強いない高齢者介護のため、医療と介護の連携を促進する法整備 ▽現行7区分の要介護認定を、3区分(軽度、中度、重度)に粗くする ▽地域包括支援センター業務から介護予防業務を切り離し、介護を支える地域づくりの基盤としての機能を果たす業務に特化(財源は介護保険制度から切り離し公費で担保する) など。 この提言書に対して、介護保険担当の山井政務官は「雇用、医療、年金、子ども問題に比べて高齢者問題はプライオリティが低いので、財源確保が重要な問題だ」とし、「長期に渡って見直されていない人員配置基準の見直し、福祉用具の積極活用などその位置づけ、医療との連携をはかる法整備も併せて重要な問題だ」と提言書に理解を示した。 編集部からのコメント 札幌のグループホーム火災を受け、本紙面でグループホームの抱える防災対策の問題を検証する記事をまとめた。現場の声を聞くと、火災発生時に入居者を避難させる夜勤職員を手厚く配置するため、夜勤加算を引き上げてほしいという意見が多く聞かれた。 「自分が夜勤の時に火災が発生したら、同じことになるかもしれない」という不安を訴える人も多かった。2012年実施の改正介護保険法と報酬改定で、夜勤体制のあり方を考えるきっかけとなりそうだ。 まもなく公益法人や特殊法人の事業仕分けが始まる。「予算のムダを省き、必要なところにはしっかり配慮する」という民主党のマニュフェスト通り、しっかりと手当してもらうことに期待したい。 (編集部:堀田) 情報提供:シルバー産業新聞
福祉用具貸与価格が著しく高額に請求される「はずれ値」の是正のため、詳細な価格情報を利用者に提供することで、価格競争による適正化を目指した「価格帯通知」が横浜市、広島市で始まっている(『シルバー産業新聞』2月10発行日号既報)。その後の取材で、佐賀県伊万里市、福岡県大川市、沖縄県浦添市でも価格通知を実施していることがわかった。
佐賀県伊万里市は、2009年10月と2010年2月に価格通知を実施した。1回に約400通の通知を発送。通知には商品名と費用額が示され、参考情報として、全国と都道府県の請求件数や最低、最高、平均、最頻度の費用額がある。人口規模から用具ごとの請求件数が少ないため、市の費用額分布はなく、都道府県費用額分布がグラフ化されている。 福岡県大川市は2月に価格通知を約200通郵送した。同市も件数が少ないため、記載内容は自己負担額と公費負担額、福岡県の最低、最高、最頻度の利用者負担額に留めた。価格分布は県データが表で示されている。担当ケアマネジャーと福祉用具貸与事業者には同様の通知を送り、利用者への説明を求めた。 沖縄県浦添市は郵送料や事務作業の増加を抑えるため、ハガキで3月31日に初通知した。見開きハガキサイズという制約の中で事業者名、商品名、本人の費用額、全国平均費用額、沖縄県平均費用額のみのシンプルさで、価格分布の記載もない。今後も年4回の通知を予定している。
札幌市の認知症高齢者グループホーム「みらい とんでん」で3月13日未明に発生した火災で、7人の入居者が死亡する事故が発生した。延べ床面積は、スプリンクラー整備義務のある「275平方メートル」を僅かに下回っていた。4年前の2006年1月に長崎県のグループホームで発生した火災で7人の死者を出した反省から消防法が改正され、スプリンクラー設置義務が延べ床1,000平方メートル以上から275平方メートル以上に引き上げられていた。住み馴れた環境を大切にする地域密着型サービスの小規模施設は、ケアの場としては優れても、火災など災害には脆弱であることを露呈した形だ。
厚生労働省では繰り返される小規模施設での悲劇に、消防法を所管する消防庁、建築基準法を所管する国土交通省とともに「グループホーム火災を踏まえた対策について3省庁緊急プロジェクト」を発足させ、対応の検討始めた。 3月18日の第1回目の会合では、3省庁がそれぞれ所管する法令から、消防庁が「スプリンクラー設備等の設置と設置予定ならびに消防法違反状況」、厚生労働省が「介護保険法に義務付けのある非常災害対策の実施状況、スプリンクラー等設備の設置状況と予定時期、地域との連携状況」、国土交通省が「建築基準法の違反状況」についてそれぞれ調査し、1ヵ月後を目途に報告、具体的な検討に入ることとなった。 プロジェクトを呼び掛けた厚生労働省は「猶予期間中でもスプリンクラー設置を急ぐように市区町村を通じて、グループホーム事業者に呼び掛けてもらう」と今できる対応を進めているとした。今後の方針について「具体的には何も決まっていない」としながらも「275平方メートルの要件をどうするのか」など、消防庁や国土交通省と検討して、なるべく早く対応に移したい」とした。
また、火災後、マスコミなどで夜勤体制の脆弱さを指摘し、夜勤加算の低さに原因を求める声が高まっていることに対し「費用効果から検討する」にとどまり、予算のひっ迫する中で、手当の難しさを滲ませた。
キーワードとなる「延べ床275平方メートル以上」だが、2006年の長崎県大村市の火災事故で、消防法改正の議論が厚労省や国交省、有識者などで交わされた際、すべての小規模施設に防火設備を求める消防庁と、地域に密着した小規模施設を推進したい厚労省が、一定の面積要件で妥協した結果だった。 消防庁の調査では、275平方メートル以上とすることで、既存グループホームの約7割がスプリンクラー等の整備義務となるとみているが、問題は「みらい とんでん」のような、3割を占める面積要件以下の施設への対応が急がれる。
介護保険に関係する有識者らで構成する「介護保険を持続・発展させる1,000万人の輪」(介護1,000万人の輪)は3月31日、提言書「介護保険を持続・発展させるための1,000万人の提言 ―誰もが安心して暮らせる制度をめざして―」を厚生労働大臣並びに各政党に提出した。 提言書では、持続的な制度とするため、公費割合50%を60%に引き上げることを求めていることが注目される。 主な提言内容は ▽介護保険の財政構成のうち公費50%を2012年には60%へ引き上げる ▽介護予防事業の介護保険からの切り離す ▽介護従事者の意欲向上のため、賃金を常勤で年収450万円、非常勤で時給1,800円とする ▽訪問介護サービスの「生活援助」と「身体介護」の区分を「訪問介護」に1本化する ▽福祉用具貸与の利用効果を高めるため、最低6ヵ月に1回の利用状況確認・用具点検を義務づける ▽家族や介護従事者に負担を強いない高齢者介護のため、医療と介護の連携を促進する法整備 ▽現行7区分の要介護認定を、3区分(軽度、中度、重度)に粗くする ▽地域包括支援センター業務から介護予防業務を切り離し、介護を支える地域づくりの基盤としての機能を果たす業務に特化(財源は介護保険制度から切り離し公費で担保する) など。 この提言書に対して、介護保険担当の山井政務官は「雇用、医療、年金、子ども問題に比べて高齢者問題はプライオリティが低いので、財源確保が重要な問題だ」とし、「長期に渡って見直されていない人員配置基準の見直し、福祉用具の積極活用などその位置づけ、医療との連携をはかる法整備も併せて重要な問題だ」と提言書に理解を示した。
札幌のグループホーム火災を受け、本紙面でグループホームの抱える防災対策の問題を検証する記事をまとめた。現場の声を聞くと、火災発生時に入居者を避難させる夜勤職員を手厚く配置するため、夜勤加算を引き上げてほしいという意見が多く聞かれた。 「自分が夜勤の時に火災が発生したら、同じことになるかもしれない」という不安を訴える人も多かった。2012年実施の改正介護保険法と報酬改定で、夜勤体制のあり方を考えるきっかけとなりそうだ。 まもなく公益法人や特殊法人の事業仕分けが始まる。「予算のムダを省き、必要なところにはしっかり配慮する」という民主党のマニュフェスト通り、しっかりと手当してもらうことに期待したい。
(編集部:堀田)
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