介護マガジン

ソーシャルワーカー 金沢次郎の「心のよろず屋 奮闘記」

介護保険制度には限界もあり、介護の全てに対応できるわけではない。24時間365日の内、カバーできるのは本当にわずかでしかない。人が地域で生活していくには、制度以外の所で隣近所の助け合い等がどうしても必要になる。映画や小説などで描かれている昔の時代にあった隣近所の助け合いのようなものが、今の時代にも必要であると言うことは色々な所で言われている。確かにそれはその通りだと思う。しかし、人のライフスタイルなどがこれだけ昔と変わっている現在において、それはなかなかに難しいと思う。人が困っているのを見て見ぬふりをする人が増えていると言うことだけではなく、例えば近所の人からの支援を受ける側にも、昔と比べて変化が出てきているのではないかと感じることがある。

私が担当しているAさんはマンションで1人暮らしをしている。近所に親戚もいない。その地区では1人暮らしの方を対象にした、お茶のみ会のようなものも時々開かれているが、Aさんは身体の状態も思わしくないため、参加することができない。しかし同じマンションに住む数人の方が時々Aさんを気遣って自宅を訪ねてくれていた。何か果物やおかずを作ってきてくれる時もあった。その話を聞いた時に、私はなかなかそういったことをしてくれる人がいないこのご時世でありがたい話だと思っていた。
先日Aさんの自宅を訪問した時に“最近も近所の方が来てくれているのか”聞いてみた。すると最近は全然来ていないということだった。“なぜ今まで来ていた人が来なくなったのか”Aさんに聞いてみた。

Aさんは結婚歴もなく1人で仕事をしてきた人で、ライフススタイルにも大きなこだわりを持っている。時間も自分の思い通りに過ごしてきた。それは介護保険制度を使うようになってからも同じだった。自分のリズムで生活することがAさんにはとても大切なことだった。しかし訪問してくれていた近所の方は、心配して来てくれているのだが、訪問してくれる時間がいつもまちまちだったり、少し話が長くなったりすることがあった。Aさんにはその訪問に対して感謝する気持ちと、自分のリズムが崩されてイライラする気持ちがいつもあった。そのイライラする気持ちが、表情にも出てしまうようになり、結局近所方の訪問はなくなってしまったと言うことだった。

本当の理由は他にあったのかもしれないが、リズムが崩れるというAさんの話を聞いてある意味ではとても納得がいった。私自身、自分のリズムが崩れるのは結構しんどい。特に人と人の距離が昔に比べ広がってしまっている現在においては、マイペースの人が増えていると思う。子供のうちから1人部屋で、漫画喫茶で自分の好きに過ごせるような環境に慣れていると、自分のペースが崩れることにあまり免疫が無くなってしまっているような気がする。地域包括支援センターでは何とか、近隣同士の助け合いを含めた地域での支え合いを作っていくことができないか、試行錯誤しているのだが、いざ自分のことを考えると、お金を払って、仕事で決まった時間に来て、決まった時間に帰るサービスの方が気持ちが楽だと、仕事とは全く別なことを思うことがある。その人の好意を受けると言うのも単純ではないと言うことをAさんの話を聞いて実感した。