介護マガジン

ソーシャルワーカー 金沢次郎の「心のよろず屋 奮闘記」

2010/02/12 呼び寄せ

先日テレビで「呼び寄せ高齢者」のニュースをやっていた。高齢になった親を子供が呼び寄せて一緒に生活するというパターンは、私の担当地域でも最近多いような気がする。私は、“高齢になった時に、子供と一緒に生活できたらさぞかし心強いのではないか”と思っていた。だから一緒に生活できる人は幸せだろうと勝手に想像していたのだが、実際には様々な問題があることが段々わかってきた(もちろん良い面もたくさんあることも確かだと思う)。

私が担当しているAさんは娘さんが住む私の担当地区に転居してきた。ご主人が亡くなってから1人で生活していたAさんだったが、外出も以前のようにスムーズに行えなくなり、また物忘れも目立つようになった。そのため娘さんから同居の申し出があり、一緒に住むことになった。介護が必要になってからではなく、まだなんとか1人でも生活できる程度の状態での引っ越しであれば、新しい環境でも一緒に楽しむことができると娘さんは考えていたようだった。
確かに同居を始めて数ヵ月は一緒に外出したり、楽しい時間を過ごすことができていた。生活が段々落ち着いてくると、Aさんは娘さんとの外出以外はほとんど外へ出ることがなくなってしまった。同居前はよく1人で公民館などに出かけてサークル活動などに参加していたAさんだったが、新しい土地では友人もなく、また土地の風習や雰囲気なども違うため、なかなか以前のように動けなくなってしまっていた。家にこもるようになると、娘さんとの衝突の回数も増えていき、娘さんのストレスも増えていった。私は娘さんから相談を受けてデイサービスの紹介などを行ったが、Aさんはデイサービスを利用することも拒否した。せっかく親子で生活できるのにお互いのストレスばかりが強くなってしまっていた。
Aさんの担当になり1年が経つが、ほとんど有効な手立てが取れないまま、時間だけが過ぎてしまっている。

それでも今の時点では、私がAさんと娘さんに関われていることは大きな意味があると思う。
先日のテレビでは、呼び寄せて同居をしたが上手くいかず、誰にも相談できずにいたという人の話があった。何か特効薬があるわけではないかもしれない。しかし、誰かに相談できるのとできないのでは雲泥の差がある。呼び寄せて同居する方は最近増えていることは間違いない。
私も相談を受ける時や訪問する時に、相手が発しているサインをきちんとキャッチできるように注意して関わっていきたいと思う。