介護マガジン

ソーシャルワーカー 金沢次郎の「心のよろず屋 奮闘記」

2010/02/18 個人情報と見守り

ひとり暮らしをしているAさんの担当民生委員の方から連絡があった。Aさんの自宅の雨戸が昨日から閉まったままになっており、近所の人が呼び鈴を押したが応答がないので心配と言うことだった。通常であれば“Aさんが外出して留守にしているのではないか”ということをまず考えるのだが、数日前にAさんと近所の人が会った時に少し具合が悪そうだったため、自宅の中で倒れているのではないかということを近所の方は考えたようだった。確かに、ひとり暮らしの方の自宅を訪問したら倒れていたということは時々ある。しかしAさんは用事があって外出していただけだった。

地域包括支援センターでは、特にひとり暮らしの方のサポートに力を注いでいる。しかしひとり暮らしの方の数が増え続けている現状では、なかなかすべての方に十分な支援を行うことは難しい。またいくら地域包括支援センターが頑張っても、毎日全員のところに様子を見に行くことは不可能である。そのため、地域の民生委員の方や、近隣住民の方とも協力しながら支援を行う必要がある。Aさんの場合も近所の方がまず心配してくれたので、地域包括支援センターまで情報が入った。この近所の方の動きがなければ、雨戸が閉まっているという情報を地域包括支援センターがキャッチすることは難しい。

地域包括支援センターでは、特に地域の方々とのネットワークを有効活用することが求められている。しかしこれには大きな問題がある。専門家同士の情報交換と違い、近隣住民の方にどこまでプライバシーや個人情報について話をすればよいのか、なかなかわかりにくい。もちろん不必要なことは話をする必要はないが、その線引きも明確ではない。

Aさんにとって近隣の方が心配してくれるということは心強いことかもしれない。しかし人によっては近所の人だからこそあまり自分のことを話したくない、関わってほしくないという方も多いと思う。助け合い、支えあいが重要であることは確かだが、そのためにはある程度自分自身のことをオープンにしなくてはならない。困っている人に対して、何かを手伝ったりすることよりも、自分が助けを必要としている状態であることを人に伝えることの方が難しい。特に個人情報、プライバシーの保護が当たり前の時代において、自分をさらけ出すということは一番難しいことかもしれない。