介護ニュース - 海外レポート

海外の介護に関する取材レポートのコーナーです。カナダ在住の三宅秀子氏より月1回お届けします。

介護と文化背景

  • 介護施設イメージ

高齢者介護についての考え方は、その人の文化背景が大きいと思います。日本では、みんな当たり前のように両親の介護を自分自身でしようとしますが、いわゆる西ヨーロッパの文化背景を持つ人達は、介護施設に入居する、させるということに何の疑問も持ちません。
しかし、家や家族のつながりを大事に考える文化の中で育った人達は、そうそうここカナダのやり方に馴染まないようです。

例えば、インド系の家族は大きな家にたいてい3世代一緒に住んでいます。私の知り合いのインド人の奥さんは、カナダに住むインド人男性とお見合いをしてインドからやってきました。そこには、すでに年老いた義理のご両親がいらっしゃり、当然のように同居、面倒を見ています。彼らは、自分達の文化そのままでここに暮らしていらっしゃいます。また、私の友人の中国系のお母さんは、やはり自宅で自分の父親の介護をしています。施設に入れるなんてとんでもないと思っていらっしゃるようですが、やはり最近は介護疲れが出てきたと、聞いています。

ここブリティッシュコロンビア州は、北米で最大のインド系コミュニティがあります。サレーというバンクーバーの郊外に多くのインド系の家族が暮らしています。前述のように、こちらに移民してきても大家族で暮らしており、インドでの生活風習などそのままです。しかし、現実は家のローンの返済のために夫婦共働きが多く、年老いた両親は夫婦の子供の面倒を見る、また子供たちが手を離れたら、家で1人にされているというのが現状です。

彼らの文化では、年老いた両親とは、たとえ医療的な介護が必要であっても同じ家に住み、施設に預けるのはモラルに反するのです。
しかし、いくらモラルに反するといっても、上記のような状態で介護の必要なお年寄りを家に1人で置いていくわけにはいかず、施設に入居すること以外の選択がない場合が出てきました。

2005年に南アジア(インドとその周辺国)のお年寄りのための介護施設が、政府の外郭団体の援助のもとでサレーに造られました。54部屋は、独立して生活のできるお年寄り向け、72部屋は、アシスタントの必要なお年寄り向けとなっています。ここではデイプログラムも主催しています。これは、お年寄りのデイケアでもあり、家族は仕事がある、しかし施設に入れるには抵抗があるという家族に利用を促しています。もちろん、そこの文化やお祭りなどを取り入れ、スタッフもその国々、地方で話される言語を話します。以前紹介した日系ホームの南アジア版ですね。恐らく普通のいわゆるケアホームなら、お年寄りもそのご家族も抵抗があったと思われますが、自分の属する文化を尊重したケアホームなら抵抗も少なくないのではないかと思います。

日本人は、その土地に馴染むように努力しますが、他の民族は、そのようなことはあまり無いように感じます。ある意味、文化が自分の拠り所ですので、失うことはできないのでしょう。しかし時代は変わり、いつまでも昔のままのやり方を通すことは難しくなってきています。その時に応じて、家族みんなが幸せに暮らせるように考えていかねばならないなと感じました。