介護マガジン
ソーシャルワーカー 金沢次郎の「心のよろず屋 奮闘記」
2008/08/28 戦争
毎年夏になると改めて戦争について考える。私は仕事上、戦争体験者の方の話を聞く機会が多い。私がかかわる方のほとんどが戦争を体験している。実際に戦地に赴いた方、疎開していた方、戦争によって肉親を失った方…。私などはほとんどテレビや映画などを通じてしか知ることのない体験を、実に多くの方が体験している。あまり、当時のことを話したがらない方もいるし、多くの時間を割いてお話をしてくれる方もいる。
先日訪問したAさんも戦争を体験していた。Aさんは戦後シベリアで抑留されていたことがあり、初めて訪問した時も面接の半分以上がシベリアでの話だった。
実はAさんは体調が悪く、介護保険を利用したいという相談で訪問したのだけれど、話を聞くと、体調が悪い原因はシベリアでの古傷だった。シベリアで怪我をしたのは、もう何十年も前になる。その後、日本に帰ってきて仕事をしているときは特に大きな問題にはならなかったということだったが、最近その古傷が痛むようになり、日常生活にも影響が出始めていた。あまりにも傷が古いので、今更なにか効果的な治療があるわけでもなく、Aさんは対処療法で痛みに耐えていた。私も何かAさんの役に立てればと思い話を聞いていたが、残念なことに話を聞くこと以外でAさんの役に立つようなことはなにもできなかった。
恥ずかしながら私自身、あの戦争について無知なところがあり、戦争そのものについてなにか語れるほどの意見を持っていない。しかし、Aさんの話を聞いて、改めて一人ひとりの中での戦争はまだまだ終わっていないのだということを感じた。きっとあまりに多くの方が、自分の力ではどうしようもない現実に振り回され、生きてきたのだと思う。だから、戦争を体験した方から話を聞くたびに、自分の力ではどうしようもないことが世の中にはあるという前提で生きてきた方の強さを感じる。そんな方たちの所に私は毎日出かけて行って、生活上のお手伝いをさせていただいているのだが、話を聞けば聞くほど、私にできることはとても小さなことのような気がする。
