介護マガジン
はじめての介護
家庭でできる応急処置
前回は、高齢者が自宅で倒れたときに、家庭でできる緊急時の対応についてお話ししました。
高齢者はとっさの反応力や適応力が弱まっていますので、ちょっとした不注意が思いがけない事故につながります。今回は、家庭で起こりやすい事故シーンでの簡単な対応を具体的にご紹介します。
(1) 浴槽の湯を抜く(こうすると引き上げやすい)。
(2) 風呂の蓋にあごをのせ、浴槽の壁に背をつける。


(3) 風呂場から外に移し、体温が下がらないように毛布やタオルで全身を包み、必要な応急処置をしながら救急車の到着を待つ。
(4) 救助者が一人のときは、タオルを両脇の下に通して、浴槽から引っ張り上げる。


(1) 交差させた親指と人差し指を上下の歯にあてて、口を開き、口の中を調べる。異物が見えたら取り除く

(2) 片方の手であごを支え、頭部をそらせる。もう片方の手で背中の中央より上側を力強く、叩く。咳をして出させるのも効果的。


(3) 背部から片方の手でこぶしを作り、もう一方の手を重ねて握りながらみぞおちに手をあて、引きつけるように押し上げる(ハイムリック法)。胸と腹部が圧迫され、詰まっていた物が外に出る。

(1) すぐに冷水で患部を冷やす。
(2) 衣服があっても無理に脱がさずにそのまま水で流す。
(3) 腹部や背部など広範囲のやけどのときは、清潔なシーツやタオルで体を包む。
(4) 救急車が到着したら、やけどの原因を伝える(熱湯、電気、化学薬品など)。


(1) 出血している部位にガーゼやハンカチをあて、手で圧迫しながらタオルや市販の包帯で圧迫包帯する。

(2) 出血している部分を心臓より高くする。
(3) ショック状態に陥っているときは、足を高くして仰向けに寝かせる。 両足を高く上げ、頭を下げる。血液が心臓へ戻る。脚の下に座布団や枕などを重ねて入れるとよい。

(4) 動脈からの出血は大量出血となる。強く圧迫し一時的に止血する。手足の出血には間接止血も有効。
(1) 楽な姿勢にして、落ち着かせるよう声がけをする。衣服をゆるめる。
(2) 息をしたとき、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘息音が聞こえるかチェック。
(3) 聞こえる場合は、坐位か半坐位の姿勢にして安静を保つ。
(4) 息苦しさの他にどんな症状があるのか観察する。動悸、咳、発熱など。

家庭内での事故は普段からの気配りが大切です。また、一時的な応急処置をするとともに、早めに医師の診察を受けましょう。
近年、さほどの怪我や症状でないのに救急車を手軽にコールしてしまうケースが増えています。これでは本当に必要な人の対応ができなくなります。救急車の必要性があるか否かは一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、状況に応じて受診する医療機関情報についても日頃から確認しておく必要があります。東京都では、救急車を呼んだほうがよいか判断に迷った時は、救急相談センターにて対応してくれます。プッシュ回線、携帯電話、PHSから#7119にコールしてください。
東京消防庁:救急相談センター
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.htm
その他の地域での対応は、お住まいの各自治体にお伺いください(自治体により異なります)。
せっかく救急車がきても速やかに搬送できないケースもあります。
例えば浴室やトイレの中で倒れていてドアを開くことができない、2階までの通路に物が溢れていて担架が通れない、など。搬出が難しそうな場合には119番通報の際、その旨も伝えておくと良いでしょう。
救急車が到着したら、救急隊員にかかりつけ医療機関を伝えましょう。可能であればかかりつけ医のいる医療機関に搬送、受け入れ先の病院の事情によっては他の救急病院へ搬送されます。
このとき、事故の状況や患者の情報を伝えるという、家族には大切な役割があります。救急隊員はその情報を病院に伝えながら搬送先を検討します。しかし、いざという時には突然の出来事に驚き、なかなか正確な情報が思い浮かばないかもしれませんが、患者の状態を把握しながら迅速で適切な対応をするために、とても重要な情報なのです。そこで、日頃からもしもの場合に備えて・氏名・年齢・血液型・家族歴・かかりつけ医療機関や・現病歴(現在の病気の治療経過)・既往歴(過去の病気)・飲んでいる薬などのパーソナルデータと緊急連絡先はひとつにまとめて記録しておきましょう。この個人情報をまとめたノートやファイルを電話の横などに必ず置いておき救急隊員に見せてください。いざという時にとても役立ちます。
受診したことのある病院で情報が管理されていれば、患者のIDから情報をひきだすことができますが、病院にもパーソナルデータを持参しこの記録を見ながら話すようにすれば、必要なことを的確に伝えることができるでしょう。そうすれば対応がスムーズに流れます。緊急時以外でも病院では受診や入院の度に医師や看護師によりこのアナムネーゼ(※1)が行われます。
※1 アナムネーゼAnamnaze 患者の歴史を探ること 語源はプラトンの「生得の知識」
患者さんの現病歴、既往歴、生活状況、家族歴などを詳細に聞き出し記録すること。情報が整理されていれば迅速な対応が求められる緊急時の場面で役立ちます。
次回はパーソナルデータの準備や書き方について、もう少し詳しくお伝えいたします。

Photo http://japan-geographic.tv/
『天売島の海を翔ぶウミネコ』 撮影地:北海道 羽幌町
猛暑の夏となりました。
この季節、オフィスにいてもここからは見えない海の音を思い出すことが時々あります。
蒼い海、繰り返す波音、悠々と空を翔ぶ鳥、素足に伝わる砂浜の熱さ、そこでとれるおいしいもの…。
地球上の地表の70%を占める海。海辺の町に生れ、浜を遊び場として育ったせいか、海の近くが今でも私にとって心落ち着く場所です。
海 林柳波
海は広いな大きいな
月は昇るし陽は沈む
海にお船を浮かばして
行ってみたいなよその国
