介護マガジン
ほっとライン寄席
Vol.72 ● 桜、満開
え〜。春は花なんてぇことを申しまして。花というと桜ですね。
「どうだい。花見へ行こうか」
というと黙っていてもこれは桜です。
「どうだい。花見へ行こうか」
「いいねぇ〜。ひまわり?」
という人はいませんから。
桜が咲く頃は陽気がよくなりますから大勢人が出てきます。なんとなくウキウキするもので。
“銭湯で上野の花のうわさかな”
落語にも、花見の咄がたくさんあります。有名なのが「長屋の花見」で、大家さんに誘われて長屋の住人が上野の山へ花見へ出掛けます。ところが、酒かと思ったら、これが番茶を煮出して水で割って薄めた「おちゃけ」。卵焼きが「たくわん」でカマボコが「大根の漬け物」。みんなで本物を呑んだり食べたりする真似をするという涙ぐましい咄で。
ところが今は、卵焼きやカマボコよりも、たくわんの方が値が高いという・・・。なんとなくわかりにくくなってきました。
他にも花見の咄は「花見の仇討」「花見酒」「花見小僧」「百年目」などありますが、なかでもオチが気がきいているなぁ〜と思うのは、「あたま山」という咄です。
けちな男が、さくらんぼうを食べもったいないからと種まで食べてしまう。この種が頭の上に芽を出して、やがて大きな木になり花を咲かせる。大勢の人が花見にやってきて、呑めや歌えの大騒ぎをするから、うるさくてたまらない。あまりうるさいのでこの木を抜いてしまうと、抜いたあとに大きな穴ができた。ある日、夕立にあって、そこに水がたまって池ができると、そこに鯉やフナなど魚がすみつく。今度は魚釣りの人がやってきて朝からうるさくてしょうがない。なかには、舟遊びをするものまででてくる。こううるさくては、たまらないとこの男、頭の池に自分で身を投げた。・・・という咄。(オチがわかりましたでしょうか?)
みなさんの今年の花見は、いかがでしたか?私は毎年、あるお宅へ伺いまして、立派な桜の木の下で花を見ながら、花見の落語を一席しゃべります。粋な方が世の中にはいらっしゃるもので。今年の咄は「長屋の花見」です。
