介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.76 ● 碁、将棋に凝ると親の死に目に会えない

観音様え〜。どうぞ一席お付き合いをいただきますが。

よく、このモノに凝るなんてぇ方がございます。誰でも、ひとつぐらいは夢中になるものがあるようで。 色んなものに凝る方がありますが、なかでも信心に凝るなんてぇ方がおりまして。これも本当に、信心をするなら大変に結構なことなんですが、お足(お金)がほしい一心で信心をするなんてぇ人があります。

観音様に願を懸けまして、
「金は天下のまわりものなんてぇことをいいますが、あっしぃのとこには少しも、まわってこねぇんで。どうか、わずかな金銀で結構ですから恵んでください。これから毎日、必ず通いますから…。おさい銭は、あげませんけど!」

図々しい奴があるもので、
観音様も、はなのうちは、さい銭も払わねぇで、とんでもねぇ奴だと、相手にしなかったんですが、あんまり熱心に通ってくるものですから、観音様のほうにも“仏心”が出てまいりまして、わずかな金銀だったら恵んでやろうと考え直しまして。

満願の当日、
「観音様、あたしですよ。毎日通いました!どうぞ、わずかな金銀で結構ですからお願いします」

本当に、わずか、米粒ぐらいの金のかたまりと銀のかたまりを手のひらに載せてやると、
「ありがとうございました。助かりました!」

これを押しいただくと、おでこに金のかたまりと銀のかたまりがくっついて取れなくなちゃった。
「あっ、金と銀が両方の眉の上にくっついて取れなくなっちゃった。弱ったなぁ〜」

それを見た、将棋好きな方が、
「心配するな。鼻の頭へ桂馬をはってみろ!」

…。将棋のわからない方には、おもしろくも、なんともない小噺ですが。

この将棋、あるいは碁に夢中になる方は多いようでして。
よく人がやっているのを見て、ああだ、こうだと口を出している方があります。なかにはちっともわからないで口を出す奴がある。

囲碁「ずいぶん並べたねぇ〜。一目、二目、三目…おい、こことめてねぇぞ、いいのか、これ、とめねぇで。一目、二目、三目、四目、五目…もう勝ってんじゃないか。えっあっ、これ本碁か!」
「あのね。あなた、わかってないなら黙っててくださいよ」
「いや、わからねぇことはねぇさ。あんた、白い石を持っているところをみると、白い石の係か?」
「係だってやがら。白は私の石なの」
「いや、お前の石じゃないよ。ここの家で借りたんだろう」
「やっているうちは、私の石なの」
「この白は危ないな。その隅の方のその石は危ないな」
「えっいや、危なくない。もう目ができてるんだ。」
「いや、誰が見たって、そりゃ危ない」
「どこが危ねぇんだよ」
「その端の方の石が落ちそうで危ねぇ!」

わけのわからない奴がおります。
碁、将棋は近頃、人気がないようですが、大変に頭の体操になります。皆さんもやってみたらどうですか。