介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.82 ● ネコとねずみの関係

猫とねずみイメージえ〜。毎回のお運びで、あつく御礼を申し上げます。あいかわらずのところでお付き合いを願います。

世の中には、よく器用な方がいらっしゃいます。料理のうまい方、手先が器用でアクセサリーなど小物を上手に作る方など、うらやましいかぎりです。

私は、無器用なので昔から工作とか手先を使うのが大嫌いでした。ですから師匠に入門した時は、大変に苦労しました。前座の頃は何でもできなくてはなりません。料理、掃除、洗濯、子守りなど全てこなします。一番苦労したのが、鰹節を削ることです。削る器具がありまして。実は私も入門して初めて見たのですが、かんなをひっくり返して、その下に箱がついているという道具です。

これで鰹節を削るのですが、大きい鰹節を削るのは割りと簡単なのです。ところが削って削って小さくなった鰹節を削るのが大変なのです。しかもリズムよく削らないと小言を言われます。ある時、刃で親指を切ってしまいました。見つかったら、えらいことになります。

「何、指を切った!鰹節削りの刃は大丈夫か?」

と言われますから・・・。

まして削った鰹節の中に私の血が混ざっていますから。おおしくじりです。わからないように、すぐに味噌汁のダシをとりまして、この味噌汁を師匠に出しますと、師匠がひと口飲んで

「うん!今日のダシはいい!」

師匠は落語界ではグルメといわれております。もっとも血液には鉄分がありますから害はありませんので・・・。師匠77歳で元気です。この時のダシがよかったのかもしれません。

このように私、無器用なので器用な方が本当にうらやましいです。大工仕事がうまい人がいますね。踏台だとか本箱、犬小屋なんか作る方がありますが

「おぉ、お前、この間家の棚をつってくれたろ?」
「うん」
「あれ、落っこっちゃったぜ」
「棚が、落っこった。そんなわけゃねぇんだがなぁ。あっ、お前、何かのせやしねぇか?」

のせない棚なんてのはありませんが。

大工の名人と言われましたのが、左甚五郎。

落語にも登場しますが「ねずみ」という噺。仙台へ旅にいった甚五郎、虎屋という大きな宿屋の前にある、ねずみ屋というきたない小さな宿屋へ泊まる。男親と子供の二人でやっている宿で、その主人は腰が抜けているという。実は、元は虎屋の主人だった。番頭に虎屋をのっとられたのです。そこで甚五郎が一匹のねずみを彫ると、このねずみが動くので大繁昌。これをねたんだ虎屋が、飯田丹下という彫物師に虎を彫ってもらい、二階へすえると、ねずみを見下しにらむようになる。と、ねずみが恐れをなして動かなくなってしまう。甚五郎がやってきて、ねずみに

「お前、そんなにあの虎が恐いのか」

と聞くと、ねずみは

「えっ、あれ虎ですか。あたしは猫かと思った」

という大変に気のきいたオチなのですが、近頃の猫は、ねずみをとらないようで、若い人にはオチがわからないようです。都会で見かけるねずみは、猫より強そうです。