介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.83 ● 寝かしといて、やんな

最高年齢の噺家イメージえ〜。いっぱいのお運びで、あつく御礼を申し上げます。

我々、噺家という商売は定年がありません。自分の意思でいつまでもやっていられる商売です。たとえ足腰が弱っても、口さえ動けば大丈夫です。高座まで弟子が運びますから…。 そのほうが、お客様にありがたがられたりなんかします。

噺家が一番いい時期は、60代といわれています。70代になりますと枯れていい味がでる。80代になると高座にいるだけでいい。姿が見られるだけで満足するという。90代になるとお客様がみんな手を合わせます。

今までで現役の最高年齢は、87歳です。私の大師匠の柳家小さん(五代目)が記録をつくりました。晩年の高座は、見ていてドキドキしました。明らかにセリフを忘れているのです。間が20秒位あったりすると、もうこれが最期の高座かなと仲間は思うのですが、お客様はそうは思いません。20秒の間を聞いて

「いいねぇ〜。さすがは人間国宝。この間がいいんだよぉ〜。うん、名人は違うね!」

と勘違いをします。それが証拠に師匠が高座からおりてきてひと言

「忘れちゃったよ」

と言っておりましたから。でもお客様にそう思わせるという、これが芸なのです。
ですから、私のような若手真打は大変です。なかなかお客様が信用してくれません。とにかく息の長い商売なのです。

そこへいくと、スポーツ選手は現役年数が短いですね。30代、40代で引退という。

今、話題のお相撲さんがそうです。私は昭和38年生まれです。お相撲さんで同年は、横綱の北勝海ですとか、小錦、寺尾関など「花のサンパチ」といわれた方々です。私が入門した頃には、皆、現役バリバリで大活躍でした。そして私が真打になり若手真打といわれ、30代で・・若手、・・若手といわれた頃、皆さん引退し、・・年寄になっていました。30代で噺家は若手、お相撲さんは、年寄という…。

高座で寝ているイメージそれにしても相撲界は大変ですね。大麻事件で大もめです。落語界にもこんなエピソードがあります。昔、酒に酔って高座に上がった古今亭志ん生。お辞儀をした途たんに高座で寝てしまいました。前座が起こしに行くと、それを見たお客さんが

「いいから寝かしといてやんな!」

粋な話です。今ならそんなことをしたら大変です。「木戸銭返せ、客をバカにしているのか」など苦情の山です。昔は人間にお互い余裕があったようで。私も高座では寝ませんが、客席のお客さまを寝かせます!テヘヘ…。

もちろん大麻はいけませんが、こんな会話にしたらどうでしょう。大麻を吸った弟子が部屋に帰り親方にむかって

「親方、大麻(ただいま)!」
「おっ、お前か。コカインなさい(お帰りなさい)」
「腹が減りました」
「そうか!今日は、お前の好きなシャブシャブだ」