介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.84 ● 戸倉上山田温泉の落語会

Theふとん倶楽部イメージえ〜。ようこそのお運びでありがとうございます。
噺家は、どこで仕事をしているのかというようなことを、よく聞かれます。この間、ある町の小さな公民館で落語会をしました。終演後に打ち上げをしたのですが、その時にお客さんに

「いや〜、みなさん。今日はありがとうございました。いや〜、本当にみなさん芸達者で驚きました。すばらしいですね。で、みなさん、普段は何をやって暮らしているのですか?」
「…」

普段は、別なことをして生計をたてていると思っている方が多いのです。

我々は、寄席以外にも色んな所で、おしゃべりをします。日本全国、たくさんの所で落語会があります。落語好きな人が集まって、その方達が世話人となり寄席を企画するのです。噺家にとって、こんなありがたいことはありません。ただ、世話人の方は大変です。自分達でチケットをさばくのですから。最初は、友人、家族、親類、職場の方へ売りつけます。みなさん、義理でチケットを買います。いやいや来る人もいるのです。ところが何度か聞くうちに、落語が好きになり毎回お運びをいただく人が増え、10年20年と続いている会も数多くあります。世話人の方々に感謝!です。

先日、私、戸倉上山田温泉の落語会に行ってきました。16年続いている会です。名称が「Theふとん倶楽部」(ざふとんくらぶ)という。初めて伺った時、驚きました。上山田文化会館は千人は入る大ホールなのです。この会場に、私一人の出演者でお客様がいっぱいになるのかと。世話人の方に聞きますと

「大丈夫ですよ。ほぼいっぱいになる予定です」

心配しながら楽屋に入り着替え、客席を見に行きますと、ひとりのお客さんもいません。ガッカリして舞台へ行きますと、なんとその舞台にお客様が大勢いるじゃないですか!そうなんです。この舞台が客席だったのです。大ホールの舞台ですから広いのです。ここに百人以上のお客様が、自分で座ぶとんを持参して座るという。で、名称が「Theふとん倶楽部」うまいこと考えたものです。世話人が、座ぶとんを並べたり、しまったりしなくていいのですから。楽をする為に思いついたとしか考えられません。
舞台に高座を作り、その前にお客様が自分の座ぶとんに座り、お客様が入りきると緞帳をおろす。と同時に落語会が開演する。
この逆の発想がすばらしい!日本でもこの落語会だけでしょう。初めて来たお客様は舞台に上がるということは、まずないので大喜びです。

この会の世話人は15人位います。女性が2人。男の方は皆さん粋でシャレっけがありますが、どうも奥さんに頭が上がらないようです。
「座ぶとん倶楽部」だけに、いつも尻にしかれています。おあとがよろしいようで。