介護マガジン

ほっとライン寄席

Vol.85 ● 芸名がセンコウ?

落語講座イメージ えー、前回は地方の落語会のお話をしましたが、今の落語ブームのおかげで方々で落語会が増えてきました。落語が好きな人ばかりでなく、落語を聞いてみたい、落語家を一度見てみたいという、初心者?の企画もずいぶんあります。やはりブームのようです!

その効果ですか、なんと自分で落語をやってみたいという方がたくさんいらっしゃるようです。昔から素人落語をする「天狗連」「落研」はありましたが、ごく一部の方だけでした。

芝居(歌舞伎)でも、相撲でも、素人の方が大勢やるようになると当然、プロの会にたくさんのお客様がおみえになります。この現象が落語界にもあらわれました。方々で素人さんに落語を教える講座ができています。

私も、7月から葛飾区で講座をもちました。6回の講座(稽古)で、7回目には「おさらい会」というハードスケジュールです。
最初は、受講生が集まるのかと心配していたのですが、募集を始めるとアッ、という間に30人の男女が集まりました。途中でやめた賢明な方も何人かいましたが、27人で講座が続きました。年齢は、年長者が79歳の男性から最年少は24歳の劇団員の男性まで、ちょうど男女が半分の割合です。定年退職した方も何人かおりました。

全員、芸名を自分で考えてつけたのですが、予備校の先生で「古文亭先公(こぶんていせんこう)」という方がいました。古文を教えている先生なのでこの芸名をつけたようです。私と同じ「センコウ」という音ですが、字が違うのでOKしました。この先生、授業の合間にこの講座にかけつけるという、大変忙しい方でなかなか咄が覚えられない。私に「よく生徒には、必ず予習、復習をしなさい。と言うのですが、この講座の後は言えませんね」とこぼしておりました。もっとも「おさらい会」の当日には、ちゃんと仕上げてきましたが。

みなさん覚えも早く、とても熱心に稽古をしていました。さて「おさらい会」の当日、みなさん、それぞれ個性があり、すばらしい出来でした。女性の本番に強いのには驚きました。いざとなると男の方がダラシないものなのですね。男で一番大きな声で、堂々としていたのが、最年長の79歳の男性です。人前でも、あまり緊張しないようなのです。

さて、会が無事終わり出演者全員で打上げをすると、皆満足して充実感に満ちていました。 また必ずやりたいという人がいるかと思うと、落語をやって初めてわかったことは“落語はやるものじゃなくて聞くものだ”(すばらしい!これがわかればこの講座大成功です) 受講生は、それぞれどういう職業か以前は何をしていたのか、知らなかったのですが、酒を呑み会話をするうちに氏素性がわかってきました。私の隣に座ったのが79歳の男性で、

「いや〜、今日の高座とても良かったですよ。人前でも、あがりませんし、すばらしい!以前は何の商売をなさっていたのです?」
「私ですか、以前は学校の先生をしておりました」

……あなたも「センコウ」だったのですね!

講座の最後に、みごとにオチをつけていただきました。