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Vol.12 7月18日号

全国 有料老人ホーム・特定施設の全体像

要件満たす「高専貸」は有料老人ホーム対象外

厚生労働省は先月20日、「全国有料老人ホーム・特定施設担当者会議」を開催し、国土交通省の省令に基づく「高齢者専用賃貸住宅」(高専賃)のうち、住環境など一定要件を満たしたものは厚労省所管の老人福祉法「有料老人ホーム」から除外し、その上で届出のあったものについては介護保険法「特定施設入居者生活介護」(特定施設)として認めるようにするなど、両施設の全体像について説明した。

高専賃とは、不動産業界で敬遠されがちな高齢者単身・夫婦世帯でも賃貸入居しやすくするため、「高齢者の住居の安定を確保する法律」省令によって、国土交通省が昨年12月に施行した制度。高齢者単身・夫婦世帯でも入居を拒まない賃貸型の高齢者専用賃貸住宅を都道府県知事に登録させて、広くインターネット上などで情報提供することにより、入居希望者の住宅探しをサポートするもの。高専賃事業者にとっても、入居者が集まりやすくなる。これまでに4,063戸(5月23日時点)が登録されている。

4月の介護保険制度改正にともない、有料老人ホーム定義も見直され、(1)入居者数の人員要件をなくす、(2)従来の「食事の提供」のほか「介護の提供」、「洗濯、掃除等の家事」、「健康管理」のいずれかを提供すれば該当する―となった。この見直しにより、1人でも高齢者が入居する施設で、食事や介護サービス等が付随提供される高齢者専用賃貸住宅であれば、高専賃であっても有料老人ホームに該当することになった。

有料老人ホームに該当すれば、建築法のほか、老人福祉法により求められる廊下幅など、一層高い施設要件が求められるようになるため、高専賃事業者を中心に、どのような施設がどの制度に規定され、どのように規制されるのか、明確な判断を求める声が強まっていた。
こうした要請を受ける形で国交・厚労両省で取扱いが協議され、今回の判断となった。

ポイントは、高専賃のうち▽介護サービスなどの提供があっても、(1)「住戸面積25u以上(居間・台所・食堂など共有スペースが十分確保される場合18u以上)」、(2)「原則として、住戸内に台所、便所、収納設備、洗面設備、浴室がある」、(3)「前払家賃を受ける場合は保全措置があること」、(4)「介護、食事、洗濯・掃除などの家事、健康管理のいずれか提供されている」―のすべてを満たした高専賃は、「有料老人ホーム」(老人福祉法)から除外する、▽その上で、介護保険「特定施設入居者生活介護」サービスを提供したい高専賃事業者が都道府県に届出すれば、特定施設事業者となることも認める―というもの。

ただし、先の要件を満たさず介護サービス等を提供する高専賃は、有料老人ホームとして取り扱われることになる。併せて、賃貸ではない「分譲式住宅」は自宅として取り扱われることから、あらゆるサービス形態であっても、これらの規制を受けないとされた。

今回の判断で、一定要件を満たした高専賃が有料老人ホームから除外されたのは、「情報開示が行われている」、「一定の居住空間が確保されている」、「賃貸契約上でも借家人の保護が図られている」ことから、老人福祉法という制度が守ろうとする利用者権利が、すでに高専賃制度で満たされているため、改めて要件を課す必要がないと判断されたため。

宅老所など、既存施設の届出徹底呼びかけ

4月の有料老人ホーム定義見直しによって、10名以下の高齢者が入所する極めて小規模な民家改装型の宅老所も、有料老人ホームとなる。廊下幅や防火設備など、求められる要件も相当高まる。既存の宅老所のほとんどは、こうした変更に対応できない建物が多くを占めている。

そこで厚労省は、既存の施設であり、新たに届出の必要が生じた施設は、▽まず届出を徹底させる、▽改善可能なものから対応させる、▽改装・改築に合わせ、基準適合の施設となるよう指導する―など、市区町村に現実的で柔軟な対応を求めた。

厚労省「事業規制だけにならない配慮を」

制度改正によって、一時金や利用料、提供サービス内容、寄せられた苦情内容、事故発生時の状況・処置などを記録した「帳簿の保存義務(2年間)」や「都道府県の立ち入り調査」などが決められ、事業規制ともいえる流れも強まった。

さらに有料老人ホーム事業者らに追い打ちをかけるように、三位一体の改革によって、特定施設も総量規制の対象となった。都道府県の判断で、地域に必要と考えられる特定施設整備予定数を超えた戸数については、指定拒否ができるというもの。

一部では有料老人ホームを展開する大手事業者が、こうした有料老人ホームの厳しい規制を嫌い、要件を満たした高専賃となることで規制から逃れようとする動きもある。

しかし一方で、介護療養型施設の廃止が決まり、特定施設は有力な移行候補とされることから、厚労省としては、都道府県が指定拒否を乱用することを懸念している。

都道府県や市区町村の言い分としては、「特定施設が立地すれば地域の保険料が跳ね上がる。それどころか、入居者がほかの自治体から移ってきた人であれば、その地域の被保険者の理解も得にくい」ということがある。

厚労省もこうした自治体の意向を汲み、特定施設に入居してきた人が、その直前まで他の自治体で生活していた人であれば、遡って直近の自治体に保険料負担をさせる「住所地特例」を適用し、立地する自治体に負担が掛からないように配慮を示した。

厚生労働省老健局振興課長の古都賢一振興氏は、同会議の冒頭挨拶で「事業規制だけにならないように」と市町村に適切な運用を呼びかけた。

パンフレット・広告表現の見直し

利用者保護のため、施設のパンフレット・広告物等への記載は、より詳細な表現が求められるようになった。「介護付き有料老人ホーム」の場合、「一般型特定施設」または「外部サービス利用型特定施設」のいずれかを明確にさせる。「住居の権利形態」や「利用料の支払方法」は「賃貸」、「終身賃貸」、「終身利用権」など一体的表現を改め、住居の権利形態は「利用権」、「建物賃貸借」、「終身建物賃貸借」のいずれか、利用料の支払方法については「一時金」、「月払い」、「選択」のいずれかを、それぞれ明記することにした。

全国 介護福祉士資格を国家試験に一本化

厚生労働省は3日、「介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」で、介護福祉士の資格取得要件を国家試験受験に一本化することを決めた。
現在、介護福祉士資格を取得するには、(1)介護福祉士養成施設を卒業する(2)3年間の実務経験を経た後、国家試験に合格する(3)福祉系高校を卒業し国家試験に合格する―の3ルートがある。改正案では、介護福祉士の質の全般的向上を図るため、全ての者に国家試験を受験し、合格することを求める。

また、実務経験ルートには現行の実務経験3年に加え、「理論的・体系的学習の養成過程6カ月以上」を課すことや、養成施設と同レベルに満たない福祉系高校ルートには、卒業後に「9カ月程度実務経験を経る」ことを国家試験受験の要件に加えるなどとする考えも示した。
厚労省は、来年の通常国会に関連法案を提出し、成立後2年以内に施行することを目指す。

全国   04年度福祉用具市場規模は1兆1,817億円 前年比0.3%増=JASPA発表
日本福祉用具・生活支援用具協会(略称・JASPA、生田允紀会長)はこのほど、2004年度の福祉用具産業市場調査を行い、前年比0.3%増の一兆千八百十七億円になったと発表した。

ジャンル別では、家庭用治療器1,162億円(±0%)、義肢・装具(広義)2,168億円(−1.3%)、パーソナル関連2,708億円(+3.8%)、移動機器等1,062億円(−2.2%)、家具・建物等868億円(+2.4%)、コミュニケーション機器2,849億円(+1.4%)、在宅等介護関連分野その他502億円(−5.1%)、その他26億円(−28%)、福祉施設用機器システム53億円(−15.9%)、社会参加支援機器等423億円(−6.0%)。
これら詳細な報告書は希望者に2,000円で頒布する。(JASPA事務局):Tel:03-3437-2623まで。

編集部からのコメント
医療の必要が薄く退院できる状態でありながら、“介護の担い手がない”、“経済的負担が軽くすむ”などの理由で、病床を居室代わりに使用する「社会的入院」の解消に向けて、療養病床の見直しが行われる。在宅生活にくらべ医療費や介護保険料など社会的コストを多く使用することから、社会保障費の増大の一因として指摘され、社会問題化していた。
その解消手段として期待され導入されたのが介護保険制度。在宅サービスの利用急増が表すように、一定の成果を挙げた。その総仕上げがこれから行われる。

介護給付を受ける13万床は2011年3月末をもって介護報酬の対象とせず、また、診療報酬を受ける25万床は医療の必要性を検証し、必要に応じて退院を求めることになる。将来的には、介護療養病床からの移行分を含めて15万床に削減する。現在の半分以下になる計算だ。

入院・入所者の移り先も整備しなければならない。そのため厚労省は、退院・退所後の生活の場として、民間参入により増大する有料老人ホームの考え方を整理した。
また、老人保健施設への移行を目指す病院に、人員要件などの緩やかな「経過型」を認め、報酬は「老人保健施設」報酬から微減させた程度に設定した。
在宅に戻って生活する人のため、在宅診療支援診療所を医療の制度として認め、介護サービスなどの活用を進める。ほかにも、夜間対応型訪問介護や訪問看護に夜間巡回型を認めるなど、次々と地域生活できる体制を介護保険制度改正で盛り込んだ。
関係各人が連携し、上手く退院・退所後の引継ぎが機能するかどうか懐疑的な意見も多いが、厳しい視点でチェックしながらも、上手く機能することを願うばかりだ。

しかし、在宅生活を続ける上で欠かせないハズの福祉用具が「介護予防・自立支援」の対立概念に仕立てられ、「要支援1および2」、「要介護1」の者については、在宅で給付制限の動きがあることに懸念と疑念を禁じ得ない。
「蟻の穴から堤も崩れる」の故事に倣うまでもなく、ひとつひとつ在宅生活しやすくする制度をせっかく構築しながら、たったひとつの読み違いで、制度全体が崩れ去らないことを本に願う。
(編集部:堀田)

情報提供:シルバー産業新聞 シルバー産業新聞バナー

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