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Vol.14 9月15日号

全国 5月の介護給付分析――要支援者の受給率55%にとどまる

国民健康保険中央会は、2006年5月サービス提供分の、介護給付状況を発表した。介護保険サービス全体の費用額(給付費と利用者負担を合わせた額)は、今年4月より329億円多い5,401.7億円となり、昨年同月に比べ0.9%減少した。4月が昨年同月より3.3%減少したのに比べ、給付の減り幅は若干鈍った。ただし介護報酬の支払件数は、昨年同月より3.6%増加している。居宅系サービスは5.6%、施設系は8.7%、それぞれ件数増加の一方で、昨年同月より減少しており、介護報酬改定による給付への影響が表れている。

介護予防サービスは約11.1万人が利用し、費用額は4月の14.9億円より28.6億円多い43.5億円で、全体の0.8%。支払件数は253.9千件で、このうち介護予防訪問介護は54.5千件、介護予防通所介護が40.2千件、介護予防福祉用具貸与が22.2千件などとなった。同福祉用具貸与の支払件数と費用額は、要支援1が8,300件で9,500万円、要支援2は1万3,900件で1.6億円だった。1件あたりのレンタル費用は1万1,500円前後となっている。

5月の要介護認定者数は443.8万人、受給者数は348.1万人で認定者数に占める割合は78.4%となった。要支援1と2は4月から合わせて11万人余り増え、約20.2万人。認定者数に占める受給者数の割合を要介護度別にみると、要支援1は52.9%、要支援2は57.5%と、他の要介護度に比べ利用割合は低く、介護予防サービスの利用はまだ本格的とはいえない状況だ。

1人あたりの費用額は、15万5,170円で前年同月に比べ6%減少した。要支援1は3万円強だが、要支援2では5万4,113円となり、経過的要介護者よりも1人あたり1万5千円あまり高くなっている。要介護1〜5は、在宅施設を合わせておよそ17.5万円だった。

東京 「介護支援ボランティア特区」提案 年間5,000円減額
保険料設定の弾力化に注目あつまる

東京都稲城市(石川良一市長、人口7万8,000人、高齢化率14%)は、高齢者が介護保険施設や地域支援事業などでのボランティア活動に一定回数以上参加した場合、介護保険料を年間5,000円控除する「介護支援ボランティア特区」を6月28日に特区提案した。特区実施が認められれば、ほかの自治体と検証を行いながら、3年後の制度見直しで介護保険制度上での「介護支援ボランティア控除」創設を目指す。
本年度中の回答に向け関係省庁で検討が行われているが、自治体が介護保険料設定を弾力的に行えるようにする内容であることから、ほかの保険者にも関心が高い。

時間に余裕のできた元気高齢者に生きがいをもって要介護高齢者を支援してもらい、地域社会づくりに貢献してもらうもの。介護予防の観点から、ボランティア参加者本人が要介護者になることを遅らせるだけでも、保険財政面での効果がある。要介護高齢者と元気な高齢者が交流することで、同世代での助け合い社会形成のねらいもある。
控除の要件としては、▽介護支援ボランティアとして「年間36回以上(1回2時間程度)」または、「3ヶ月以上継続して週一回(2時間)12回程度」参加する▽内容は「レクリエーション指導、参加支援」、「お茶だしや配膳、下膳の補助」、「散歩、外出、館内移動の補助」、「話し相手」など▽活動実績の確認をするため、対象事業は介護保険施設、地域支援事業、ハンディキャブ(ボランティア移送)、高齢者会食会などとする――を予定している。これら要件を満たした高齢者が社協から「介護支援ボランティア証明」を交付してもらい、毎年5月頃に「介護保険料控除申請書」とともに市介護保険担当へ提出することで、所得に関係なく、一律年間5,000円を介護保険料の当初賦課から減額する。
稲城市高齢福祉課長の石田光広氏は、「被保険者からすれば、措置的に保険料が決められるのではなく、ある程度において保険料も自己決定できると言うこともできます」と説明する。

稲城市が市内ボランティア関係者に実施したアンケートでは、賛成60%、反対27%だった。反対意見としては、控除の対象となるボランティアを限定することに対するものが多かった。小規模多機能型のように、地方発で全国制度となった事例もあることから、特区の行方、これからの議論が注目される。

全国   自費レンタルに自治体独自助成

軽度者の特殊寝台の給付制限問題 自治体で救済措置相次ぐ
――都下など自費負担の助成 本紙調査

介護保険制度改正により要支援、要介護1への特殊寝台、車いす、床ずれ防止用具等の6品目の福祉用具貸与は「一定の例外となる者」を除き保険給付対象外とされた。この経過措置(移行猶予)が終了する今月30日を控えて、自治体の多くが対応に苦慮する中で、国が示した例外となる者に該当しない者が「制度外レンタル」を利用する場合にも独自の費用助成を行う事例や、個別事例に対応を図ろうとする自治体の動きが全国で広がっていることが、本紙が8月下旬に全市を対象に実施した全市緊急アンケート調査、取材でわかった。151市(東京特別区)から回答を得た。

制度外レンタルを広く是認した8月14日の厚労省老健局振興課の事務連絡を受けて、低所得者等への助成制度を設ける自治体が増えている。東京都下での助成が目立ち、東京23区中5区が実施方針を固め、3区が実施を検討している。給付制限対象者への制度外レンタル費の一部を助成するもの。

北区では、区内在住の対象者は所得を問わず、すべてのレンタル利用者に費用の一部を助成する。特殊寝台(含・付属品)で月3千円、その他対象の品目で月2千円を上限に、制度外レンタル費用の90%(2年目は45%)を助成。生活保護者には全額市負担。10月〜08年9月末までの暫定措置で、1,150人程度を想定する。
新宿区では、06年3月末時点で要支援、要介護1で、特殊寝台レンタルを利用する保険料第3段階以下の区内在住者が対象。機種限定の幅広ベッド(手動6段階高さ調整可で手すり付き、モーター・マットレスなし)を制度外レンタルする場合に、レンタル費用月2,360円のうち、区が1,500円を助成する。オプションとして、「マットレス」(月1,680円)、追加の「手すり」(月420円)がある。期間は10月1日〜来年3月末(08年3月末まで延長予定)まで。対象製品の選定は入札によりフランスベッドメディカルサービスが落札した。保険料4段階以上の軽度者の希望者には利用斡旋(区の助成なし)を行う。
豊島区は区内在住の対象者であり、すでに特殊寝台を利用し、必要とされる者に助成する。実費負担を超えない範囲で月3千円上限に助成。半年ごとの申請で一括支給。10月より09年3月末までの一般政策として実施する。
ただし豊島区の助成は、対象者数を50人程度と見込み、生活保護受給の収入レベルに該当する保険料第1段階にしぼった。これは、40〜64歳の被保護者(介護扶助10割受給者)が自立や要支援の更新認定を受けた場合にも従来の介護給付の受給できる2年間の経過措置が設けられているのに対して、1号被保険者の生活保護受給者にはこうした経過措置がなく、不均衡を救済するねらいがある。
調布市では、「10月1日から真に特殊寝台を必要とする方を対象にした市制度を準備中。利用者負担700円を予定」と回答した。ほかにも、都内では千代田区、港区が制度外レンタル助成実施の方針を固めており、中央区、台東区、荒川区では検討を進めている。
他県にもこうした助成事業は拡がり、茨城県常総市では「福祉用具事業者と連携し、特殊寝台の制度外レンタル費用一部助成を行う方向で調整中」と回答を寄せた。
千葉県我孫子市では、「現場スタッフとの話し合いの中で、一定の例外とならない軽度者であっても、個別にみれば特殊寝台など必要な人がいるのではないか。実態調査を行っており、国の判定基準では本当に必要な利用者が漏れるようであれば、善処したい」(介護支援課)としている。

国へ例外範囲の再検討要望――大都市介護保険担当者会議
利用実態の調査を進める自治体は多い。神戸市は、神戸市ケアマネジャ連絡会会員のケアマネに特殊寝台の実態把握調査を依頼。「呼吸器、循環器等の疾患、脊髄・関節等の疾患、進行性難病や末期がんなどにより起き上がり・寝返りに際し、呼吸困難、心臓への負担、過荷重などが生じるため特殊寝台を必要とする例が挙がられている」とし、これら具体的な事例を示しながら、8月29日大都市介護保険担当者会議の要望として、国に対して特殊寝台の必要性が高い利用者の対象範囲を再検討するよう要望した。
京都府でも府下市町村に実態報告調査を行い、現在、集計作業段階。「調査から必要度を十分精査し、根拠のある調査結果がまとまれば、国に対応を求める報告を提出したい」と担当者は話す。同様の調査は東京都などでも実施されている。
岐阜市や滋賀県湖南市などでも、個別事例への対応を検討。ほかに、制度外レンタル補助がない自治体であっても、生活保護者など低所得者対策として、「市の保有する特殊寝台の貸与」(北海道士別市)や社会福祉協議会の「車いす・ベッド貸出事業」に引き継ぐ、とする回答が多数見られた。
一方、京都府京田辺市では、「国の方針に沿って指導してきた本市では、現在までに軽度者の半分程度が購入されるなどしている。それが10月から独自助成を行えば、先に購入した人に対して不公平になる。市町村が対応できる問題でも、段階でもない。必要であれば国が施策で対応すべき」(保健福祉部)と話す。

「二重価格は容認できない」――兵庫県豊岡市
自費レンタルや二重価格の是非を問う質問では、是認する自治体が多かった一方、否定的な見解を示したのは兵庫県豊岡市、岩手県遠野市。「保険対象の用具と対象外の用具に同一型番のものが存在することは、介護保険法に違反するので、二重価格は到底容認できない」(豊岡市介護保険課)。また千葉県我孫子市、新潟市、山梨県甲州市、佐賀県武雄市では対応を検討中。大阪府河内長野市では不適正な価格への指導を行うなど、制度外レンタルに関わる価格のあり方については保険者の判断に違いが見られた。


編集部からのコメント

軽度者の福祉用具給付が制限されることへの不安・とまどい・混乱が利用者に高まっている。特殊寝台、車いす、段差解消機など6品目について、厚生労働大臣が定める、軽度者であっても使用が認められる「一定の例外となるもの」の対象範囲が極めて限定的であることと、経過措置は9月末までで終了することが十分に認識されていないこともある。
経過措置後の展開に注目が集まる中、厚生労働省が8月14日に都道府県に発出した事務連絡では、「経過措置以降に軽度者が特殊寝台などの利用を希望される場合は、制度外での自費レンタルや購入となる」、「制度と制度外との価格差があることは問題とならない(2重価格の容認)」とし、制度外レンタルや購入が軽度者に普及してゆくことを容認した。
自治体も、事務連絡を受けて制度外レンタルを広く認めて行く方向だが、全くの利用者自費とするか、独自に費用助成を設けるか判断が分かれる。
さらに、政令指定都市と東京都で構成する「大都市介護保険担当者会議」では、軽度者であっても特殊寝台、車いす、段差解消機など福祉用具6品目が使用できる「一定の例外となるもの」の範囲拡大を求めるなど、8項目の要望書を国に提出した。
地方自治体団体からの厚生労働省への改善要望提出という流れは、地域包括支援センターがケアマネジャーへの予防プラン委託に関して「委託上限8件」とした要件を半年間猶予延長したことと酷似する。
期待をもちながら、動きに注目したい。

(編集部:堀田)

情報提供:シルバー産業新聞 シルバー産業新聞バナー

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