介護ニュース
Vol.33 4月15日号
全国 介護予防施策効果あり要介護度の悪化率、特定高齢者1.6%・要支援者7.9%減少
介護予防継続的評価分析等検討会
厚生労働省は3月31日「第3回介護予防継続的評価分析等検討会」(座長:辻一郎東北大学大学院教授)を開催し、これまでに得られたデータを仮集計した結果、特定高齢者や要支援者に対する介護予防について、一定の効果が見受けられたと発表した。ただし、介護予防効果と判断することについては「様々な議論がある」ことを認め、今後、さらなるデータや分析方法の精査を行い、秋頃をめどに中間のとりまとめをおこなう予定とした。
同検討会は、改正介護保険法で介護予防施策が導入される際に「施行後3年をめどに、費用対効果の検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」と附則がついたことを受け、2006年12月に設置された。これまでに全国83市町村で実施されてきた介護予防事業の効果に関する詳細データを収集・分析してきたことについて、このたび仮集計を発表した。
調査は特定高齢者、要支援者、それぞれ対象者1,000人を1年間追跡調査し、介護予防サービスの効果について分析している。
特定高齢者については「維持改善」となった人が制度導入前は96.5%だったのが、導入後98.1%と1.6%増加した。反対に「悪化」となった人は導入前3.5%から1.9%と1.6%減少した。
要支援者では「維持改善」となった人が、導入前84.8%から導入後92.7%と7.9%増加。反対に「悪化」となった人は導入前15.2%から導入後7.3%と7.9%減少した。
この結果から「人・月」単位で比較した場合、介護予防の効果が明らかになったとまとめている。
ただし、分析は制度導入前と導入後の比較について、まったく同じ対象群の比較ではなく、あくまで仮定にもとづいて行った暫定的なものであり、効果には疑問が残る。厚労省も「(今回の結果が)ただちに介護予防効果の大きさとみなすことについては、様々な議論がある」と認めた。
今後は、悪化する人の発生率や費用対効果についても検討し、最新のデータを用いて秋頃をめどに中間のとりまとめをおこなう。最終のとりまとめは来年3月末におこなわれる。
全国 警察庁聴覚障害者マーク案公表
警察庁は、補聴器などを使用しても「10mの距離から90デジベルの音が聞こえない」重度聴覚障害者に運転免許交付する条件となる聴覚障害者マーク(聴覚障害者標章)の図案を決め、公表した。5月3日まで意見募集して正式決定する。
昨年6月の道路交通法改正で、聴力が合格基準に達しなくても「聴覚障害者マーク」表示と、通常より幅広く見渡せる「ワイドミラー」装着を条件に免許交付することになった。
聴覚障害者マークを表示する車両への幅寄せ、割り込みなどが禁止される。6月19日までに実施される。
全国 NITEJIS規格適合の第三者認証導入を提言電動カート安全性試験受けて
ハンドル形電動車いす(電動3.4輪カート)の安全性を調査してきた経済産業省所管の独立行政法人「製品評価技術基盤機構」(NITE)は、JIS規格(日本工業規格)適合を認証する第三者製品認証制度が必要であるとする報告書をまとめ、経産省に提出した。
NITEは電動カートの事故が多発することから、市販の電動3.4輪車がJIS規格に適合しているかどうかの品質試験を実施。10機種のうち6機種に安全性能や走行性について問題があることが分かった。
坂道では規定を上回る時速7.8kmに達する機種があったほか、坂道で一部の車輪が浮くもの、クラッチや電源を切った際の坂道降下で加速をつけて降下するものがあった。道路交通法関連でも車体寸法を超えるものがあった。
NITEは「基準に適合した製造・輸入製品であることが明示されるように、第三者による製品認証が必要である」とし、「事業者が自主的に基準適合性を確認するシステムのみでは不十分」と指摘した。報告書では、実際の事故状況を再現した検証結果などから、適合すべき基準を現行JISに限定せずに幅広く求めている。
また、「基準適合のチェックするための試験機関」「製品認証のための第三者認証機関」の整備が遅れていることから、これらの早急な整備が必要としている。
このほかにも提言では、電動車いすのJIS規格(JIS T9203:2006)の改善として、操作方法の統一、降坂速度が平坦路最高速度の115%以内に収まること、クラッチ解除走行時の安全性の確保などを掲げている。
今後、経産省で電動3.4輪車に関する第3者認証制度づくりに向けて具体的な検討が行われる見込み。
編集部からのコメント
桜咲く、春4月になった。
4月は新年度で制度スタートの時期だが、今年は少なからぬガソリンスタンドで価格が下がった。ガソリンを25円近く値下げしたスタンドもある。あらゆるものが値上がりする中で、わかりやすい値下げ還元とあって、おおむね歓迎されているようだ。スタンドへの行列も象徴的だった。
道路特定財源の暫定税率(租税特別措置法)の失効によるものだが、スタンドにとっては、元売りからの出荷時点で税金がかかる「蔵出し税」のため、まさに“赤字覚悟”の生き残り競争の様相を呈している。立場によって悲喜交々(ひきこもごも)がある。
介護保険をとりまく環境にも同じことが言えるように思う。
低い報酬の中でやりくりしながら質の高い介護サービスを提供している「介護保険事業者」と、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の負担増もあり介護サービスの負担は抑えてほしい「利用者」がそれだ。どちらも制度に振り回されている。
今、我々には負担と給付のバランス判断が迫られている。負担を少なくすれば享受できるサービスも減り、負担が大きければその逆だ。そして、その結果、利用者に負担を求めるのであれば、並行して負担者が納得できるサービス提供の効率化も欠かせない。道路特定財源では、道路整備や経費の見直しが掛けられるだろう。介護保険でも今年度以降に給付適正化事業が進められる。
ただ、道路特定財源には構造的・制度的に効率化の見込みがある一方で、介護保険サービス事業者には効率化を求めても多くを望めないほど、すでに窮地に追い込まれているように思う。
先日、厚生労働大臣の舛添要一氏は、介護労働者の待遇改善などのため、事業者に支払われる介護報酬引き上げを示唆する発言を行い、併せて「保険料負担を求める」考えを示した。それほど介護現場の人材不足は厳しいのだろう。
(編集部:堀田)
情報提供:シルバー産業新聞 
